日本共産党

2004年8月30日(月)「しんぶん赤旗」

列島だより

合併協の解散、離脱 相次ぐ

実態知り、住民立ち上がる 共産党がビラや対話


 小泉内閣の合併押し付けにたいし、合併協議会の解散や合併協議会からの離脱が各地で相次いでいます(別項)。北海道中空知地域、京都府宮津市と与謝郡四町の例を現地から報告します。


市長が推進姿勢を転換

「過大な期待を反省」

北海道 滝川市(中空知地域)

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 石狩川と空知川の合流点に位置する人口四万六千人、農業と建設業が盛んなまち滝川市は八月上旬、中空知地域合併協議会(滝川市と赤平市、歌志内市、砂川市、浦臼町、上砂川町で構成)から離脱しました。これにより協議会は解散手続きをすすめており、ほかの三市二町も当面の合併はなくなりました。

“最良の選択”

 田村弘市長は、理由として「重要問題で一致できないのでは、一体性のある新市にはなれない」ことをあげるとともに「合併に過大な期待をしすぎたことを反省をしている」と述べ、合併推進の姿勢から転換する考えを表明しました。

 この決断は、市民にとって最良の選択でした。それは半年間の協議で作った合併計画には多くの問題点があったからです。

 主なものは、(1)国保税・高齢者福祉など多くが、負担は高い方へ、サービスは低い方に合わせた(2)三市の駅周辺整備などムダな箱物づくりが盛り込まれた(3)特例債は制約が厳しくあまり役に立たない(4)地方交付税は、合併した方が将来、毎年二十億円も不利になる(5)市立病院統合再編案では市民の通院や、商店街に重大な影響を与える―などです。

ビラ配布、学習会

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菜の花の作付けは全国2位。6月には観光客でにぎわう=滝川市

 日本共産党は、道が押し付けの合併の組み合わせ例を示してからの約二年間、市議団だよりを年四回全戸配布し、「赤旗」折り込みの滝川民報で、押し付け合併の実態や、合併の是非は住民投票で決めるべきことなどを徹底して伝えてきました。

 また四市二町の十三人の党議員は、共通ビラや党主催学習会開催で力を合わせました。

 考える会は、四市二町のまちごとにでき、学習会や討論会が取り組まれ、最終盤には砂川市民による市立病院移転反対運動も行われました。

 これらの運動は、行政や地元紙による合併推進情報の中で、一人ひとりが合併の是非を考えるうえで一定の役割を果たしました。

 今後について市長は、「交付税削減が続けばどこもやっていけない。国に政策転換を求めながら、独立独歩、市民と一緒にまちづくりをする決意」と述べています。

 清水雅人・滝川市議


地方政治のあり方問う

活動休止で府の枠組み破たん

京都 宮津市と与謝郡4町

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 京都府北部の宮津市と与謝郡四町(加悦町、岩滝町、伊根町、野田川町)の合併協議会が七月二十九日に「活動休止」を決めたことで、府が押しつけた一市四町の枠組みは事実上、崩れました。その背景には、地方政治のあり方をめぐる基本的な違いがありました。

解散を求める

 二〇〇二年十月に発足した一市四町の合併協議会は、基本的内容で合意できない状態が続き、野田川町の太田貴美町長が解散を求めていました。

 一市四町での合併は不可能と判断した理由のひとつに、太田町長は「まちづくりの理念が違う」ことをあげ、町報で「(一市四町間には)福祉は施しと考え、ハード事業を中心としたまちづくりの考え方と、当町の考え方のように極力不用なものは作らず、その分住民福祉の向上を図っていこうとする理念の違いがある」と指摘しています。

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太田町長ら7人の野田川町委員が欠席するなか、休止を決めた合併協議会=7月29日、京都府野田川町

 太田町政三期目の野田川町は、前町政がつくった財政困難を立て直し、子どもの医療費無料化の拡充、福祉奨学金制度や健康診断無料制度の創設など、独自施策を展開。暮らし・福祉を守る新しい地方政治の流れを府内に大きく広げました。

 また、首長会などで解散を主張した岩滝町の糸井弘志町長も、全世帯への生活実態調査など、暮らしに光をあてた「小さくても快適に暮らせる小都市」づくりに尽力。

 日本共産党は、両町政を住民本位の町政として評価し、その前進に奮闘してきました。

 一方、無駄な大型開発で百九十八億円の借金(今年度末見込み、市民一人あたり約八十五万円)を抱える宮津市は、全国有数・府内最悪の“大借金財政”によって、福祉の施策が大きく立ち遅れています。五期二十年で借金を三倍に増やした徳田敏夫市長は、七月の市長選で58・4%の得票率に終わり、自身の選挙で過去最低と、市民の厳しい批判を受けました。

対話、共同に力

 日本共産党は、一市四町の合併問題で、事実に基づく情報を住民に提供し、宮津市長選をはじめ、一市四町での首長・議員選挙で前進をつくり出すとともに、保守・無党派の人々との対話と共同に力を注いできました。

京都府・足立裕紀子記者


合併協議会の解散などの主な事例

 山形 長井、南陽の2市と川西、飯豊の2町の首長で構成する合併検討協議会は19日、協議会の解散を決定しました。

 福島 桑折(こおり)町の林王喜久男町長は24日、伊達郡のうち川俣町、飯野町を除く7町でつくる合併法定協議会から離脱すると表明しました。

 埼玉 春日部市、宮代町、杉戸町、庄和町の1市3町合併協議会は23日、協議会を解散することを確認。合併の是非を問う住民投票で宮代町で反対が約6割を占めていました。

 神奈川 真鶴、湯河原両町の法定合併協議会は18日、協議会の解散を決定。真鶴町でおこなわれた合併の是非を問う住民投票で合併反対が多数を占めた結果を受けたもの。

 山梨 山梨市は7月28日、東山梨地域6市町村(塩山、山梨、牧丘、三富、勝沼、大和)でつくる法定合併協議会から離脱しました。

 岐阜 安八町議会は18日、西濃圏域合併協議会から離脱することを議決。小川徳喜町長は合併後の町づくりが不安などを理由に離脱を表明していました。

 静岡 松崎町、西伊豆町、賀茂村の西豆3町村法定合併協議会は7日、解散を決定。松崎町では住民投票を実施することにしており、住民投票を待たずに決めました。

 愛知 蟹江町・十四山(じゅうしやま)村・弥富町合併協議会は18日、解散を議決。住民の合併反対の機運が行政を動かしました。

 岡山 真備(まび)町の鎌田頼靖町長は24日、町議会全員協議会で「投票の結果を真摯(しんし)に受け止める」とのべ、倉敷市との合併協議会離脱の意向を表明。住民投票の結果は合併反対が賛成を上回りました。

 大分 日出(ひじ)町議会は7月12日、町長が杵築市、山香町、大田村との合併に調印したものの、合併議案を反対多数で否決。



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