2004年8月30日(月)「しんぶん赤旗」
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「心の病」の最も多い年齢層は三十代――。社会経済生産性本部がまとめた「メンタルヘルスの取り組みに関するアンケート調査」で、そんな調査結果が出ました。
調査は今年四月、上場企業二千六百七十六社の人事労務担当者に実施、二百六十八社(10%)から回答を得たもの。
それによると、「心の病」の最も多い年齢層として、「三十代」と答えた企業は約半数の49・3%にのぼりました。業種や従業員数規模に関係なく三十代がトップ。千人未満の企業は40%、千人から三千人未満が50%,三千人以上が63%を占め、従業員数規模が大きくなるほどその割合が高くなっています。
また、約六割(58・2)の企業が「心の病」がこの三年間に増加していると回答。二〇〇二年に実施した前回調査(48・9%)を上回っています。千人未満の企業は45・2%、千人から三千人未満は65・7%、三千人以上の企業では71・2%に及びます。
「心の病」で一カ月以上休業している従業員がいると答えた企業は66・8%で、三千人以上の企業では95・9%にものぼります。病の種類では、「うつ病」が85・8%を占めています。
メンタルヘルスに関する施策では「管理職向けの教育」が62・3%がトップ。次いで「社内報などによるPR」47・4%、「一般社員向けの教育」41・4%が上位で、教育・啓発活動が中心になっています。
職場のメンタルヘルス対策として管理監督者に期待していることは、「管理監督者に相談しやすい雰囲気づくり」が28%。以下、「部下の不調への対応」21・6%、「労働時間管理」16・4%、「職場の人間関係の調整」11・6%の順です。
メンタルヘルスの取り組みに対する考え方では、「不調者、病人の早期発見・早期治療」が43・3%と最も多く、「疾病予防・健康の保持増進」25%、「従業員・組織の生産性向上」14・6%となっています。
同本部が昨年実施した労働組合へのアンケート調査結果では、「疾病予防・健康の保持増進」が42・7%と最も多く、「不調者、病人の早期発見・早期治療」が27・4%でした。労働組合は、不調者を出さないための一次予防に重点を置いており、企業側との差異が浮き彫りになっています。
「心の病」の原因について、企業の人事担当者はどうとらえているのでしょうか。「本人の問題」が18・7%、「職場の人間関係」18・3%、「わからない」17・2%、そして「仕事の問題」は13・8%でした。
これを安全衛生委員会でメンタルヘルスに取り組んでいるかどうかでみると、メンタルヘルスを推進している企業では、「本人の問題」が16・3%である一方、推進していない企業は23・3%になっています。メンタルヘルスに取り組んでいるかどうかが、精神的な不調を個人的なものとみなすかどうかに影響を及ぼしていることがうかがえます。
同本部では調査結果について、「社会的な景気の回復感とは異なり、産業人を取りまく状況は、むしろきびしさを増しているようすが浮かび上がっている。企業としてメンタルヘルスの課題を真正面から受けとめ、積極的に取り組んでいく必要性がいっそう高まっているといえる」としています。