2004年8月29日(日)「しんぶん赤旗」
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みなさん。二日間の会議、ごくろうさまでした。幹部会を代表して討論のまとめをおこないます。この総会では、二日間で、三十六人の同志が発言しました。全国で、約六千名の同志が、CS通信で報告を視聴し、八百八十通にのぼる感想文がよせられました。
この総会の最大の主題は、「二大政党制づくり」の動きに対抗して、党の新しい前進をどうつくりだすかにありました。幹部会報告は、ここに焦点をあてて、参議院選挙を総括し、教訓をひきだし、それをふまえた党の活動方向を明らかにしました。この幹部会の提起は、総会の発言でも、全国のみなさんからの感想でも、全体として、たいへん積極的に受け止められたと思います。とりわけ、現在の情勢を前向きに打開する明るい展望がつかめた会議として、大きな成果をおさめたことが確認できると思います。
幹部会報告では、参議院選挙の政治論戦の総括の中心点として、「二大政党制づくり」の動きと効果的にたたかったかという問題に、正面からの自己分析をくわえました。そして、わが党がおこなった政策的訴えの正しさに確信をもつことをあらためて確認するとともに、「二大政党」との対比で日本共産党の議席の値打ちをおしだす論戦に、本格的にとりくんだとはいえなかったことを、政治論戦のうえでの最大の反省点として明らかにしました。そして、「二大政党」に対抗して、わが党の議席の値打ちをどうおしだすかについて、六つの角度からポイントを明らかにしました。
総会の発言でも、全国からの感想でも、この選挙戦の政治総括の核心中の核心ともいうべき内容に、「納得できた」という声がよせられました。「もやもやが吹っ切れてすっきりした」という声もたくさんよせられました。私は、全国からよせられたすべての感想を読みましたが、「納得できた」ということと、「すっきりした」というのが多数のみなさんからの共通した感想でした。
幹部会報告で解明した問題、すなわち「二大政党制づくり」とのかかわりでの党のおしだしという問題は、選挙中に、私たちも、ここに問題があるということをある程度まで感じながら、正面からとりくみ、突破するにはいたらなかった問題でしたけれども、全国でたたかったみなさんも、同じ思いを抱いて選挙をたたかっていたということを、感想を読んであらためて痛感しました。それだけに、幹部会報告で私たちがおこなった自己分析――選挙のたたかいのなかでどこに問題があったのか、どうすればもっとよくたたかえたのかということについて、選挙をともにたたかった同志として、実感をもって受け止めていただけたのだと思います。
同時に、「展望が見えた」という声が、発言でも、感想でも共通してだされたのが、何よりも重要なことであります。自己分析というのは、つぎをよりよくたたかうために、明日の展望をつかむためにおこなうわけであります。「二大政党づくり」の動きとのたたかいは、不破議長も発言でのべたように、私たちが今後も長期にわたって、本腰をいれてとりくむべき重大な問題であります。そのたたかいの政治的指針を、私たちはこの激しいたたかいのなかから、選挙戦の苦闘をつうじて、六つの角度の党のおしだしとして、つかんだわけであります。この党のおしだしを、一貫して重視し、今後の情勢の進展にそくして、発展させていきたいと思います。
いま一つ、総括にかかわってのべておきたいのは、私たちが参議院選挙の総括をすすめるさいに重視した、総括の基本姿勢の問題です。
この選挙は、複雑で困難な客観的条件のもとでたたかわれた選挙でした。ですから、どういう難しい条件のもとでたたかわれたのか、そこにはどういう歴史的な背景があるのか、これをしっかりつかむことはたいへん大切なことでした。同時に、それに解消できない主体的弱点がどこにあったか、ここを事実にそくして明らかにすることが大切でありました。これがあってこそ、現状を打開する展望もみえてきます。この分析なくしては、「難しい条件のもとではあの結果もやむをえない」という結論しか出てきません。党内外からよせられた意見に学び、最大限にそれをくみあげることによって、主体的弱点がどこにあったのかを明らかにするなかで、つぎのたたかいの展望をつかむことができたということが、大事なところだったと考えています。
私たちは、幹部会報告の全体が、そういう自己分析の精神につらぬかれるように努力を払いました。たとえば選挙区選挙の結果をどう総括するかについても、そういう見地で問題提起をいたしました。すなわち、全国的に難しい情勢があったとしても、それぞれの選挙区のたたかいで、比例代表のたたかいがどうだったのか、それにくわえて選挙区自体のたたかいがどうだったのか――複眼の角度で主体的対応がどうだったのかをふりかえる必要があるという問題提起をいたしましたが、七つの現職区の責任者のみなさんが、それにこたえ深める発言をしたことも、この総会の内容を豊かにするものでした。
私たちが、選挙戦からひきだした総括と教訓が、全党のみなさんの気持ちにかみあい、積極的に受け止めていただけたことは、本当にうれしいことであります。この内容を今後のたたかいに生かす決意をのべるものであります。
総括の問題にかかわって、福島の最上さんから、「最終盤の情勢判断は甘かったのではないか」という意見が出されました。選挙の最終盤に党中央が出した「訴え」は、マスコミの世論調査が出て、「共産大苦戦」というのがいっせいに流され、放置すれば全党が意気消沈しかねないという状況のもとでのものでした。こういう状況のもとで、比例でも選挙区でも目標達成の可能性があることを指摘して、全党を激励する訴えをおこなったというのがあの「訴え」でした。私たちは、これは選挙指導のなかではあり得ることであると考えています。
幹部会報告では、国民要求にもとづくたたかいにとりくむことを、当面の大きな仕事として提起しました。発言のなかで、衆議院の議席奪還をめざしている瀬古さん、春名さんから、「『二大政党』の動きがどんなにつくられても、国民の要求がなくなるわけではない」として、国民の苦難にこたえる活動に本格的にとりくみ、つぎをめざして奮闘しているという経験が報告されました。
これは本当に大事なことだと思います。「二大政党制づくり」という政治の表面での逆流をいかにつくろうと、古い政治と国民との土台での矛盾はなくなりません。要求はなくなりません。むしろ、矛盾は深刻になり、要求はいよいよ切実になります。そして日本共産党をどんなに政界から締め出そうとしても、国民要求にこたえる日本共産党のたたかいをやめさせることはできません。日本共産党の役割はいよいよ重要になってきています。ここをしっかりとらえて、「国民の苦難と要求のあるところ日本共産党あり」の原点に立って、国民要求にもとづくたたかいに、元気いっぱいで、ただちに打ってでようではないか、ということを呼びかけたいと思います。
直面する年金の問題や、イラクの問題などのたたかいとともに、消費税増税と憲法改悪という二大反動政治を許さないたたかいにただちに打ってでようではないか、そしてどんな国民の要求とのかかわりでも、日本共産党の姿が、元気いっぱいの姿で、国民にうつるような活動を、ただちに展開しようではないかということを訴えたい。その指針としても、ぜひ二中総の方針を生かしていただきたいと思います。
幹部会報告では、国政選挙での新たな前進をめざすとりくみ、“生きた言葉・生の声”で党を語る大運動、党の実力をつける党建設の課題についてのべました。
国政選挙の方針にかかわって、春名さんから、「今回の報告は十中総での総選挙闘争にかかわる問題提起の具体化にあたるのか」という質問がありました。
国政選挙については、昨日の幹部会報告では、たたかいの基本的構えと目標、比例区でも選挙区でも議員と候補者が先頭にたって、有権者と結びつくとりくみをおおいにすすめていくことなどについてのべています。これは、国政選挙のとりくみの第一歩の方針をのべたものだ、とご理解いただきたいと思います。
いま大事なことは、この方針にもとづいて、議員と候補者が先頭にたって有権者と結びついて、支持を積みあげていく活動をどう展開するか、これを全国のとりくみで開拓していくことであります。中央もこれをともに探求していきたいと思います。たとえば、選挙区の予定候補になった方がどういう活動をするのか。党の宣伝家として、さまざまな宣伝活動をおこなう。同時に、それにとどまらず、その地域の住民の要求を国政に反映させる懸け橋としての仕事を、その選挙区の候補者がどのようにとりくんでいくのかということになりますと、これはやはり新しい開拓の分野であります。これをおたがいに、どんどんとりくみ、探求・開拓していきたい。中央も地方も一体になって、そういうとりくみをはじめ、探求・開拓していきたい。そういう経験を、全国的につくりだしながら、総選挙と参議院選挙にむけた方針をさらに具体化していきたいと考えております。
幹部会報告では、五つの目標にもとづく党建設――党の実力をつけるという提起をおこないました。総会での発言でも、全国からの感想でも、この提起を自らの問題として受け止め、新たな決意で挑戦する、たいへん頼もしい決意がたくさんだされました。
「二大政党制づくり」の動きに対抗するうえでは、政治論戦のうえで六つの党のおしだしのポイントをにぎったたたかいを、おおいに強めることが大事ですけれども、さらにもっと根本の力、根本の展望をどこに見いだすかといえば、やはりいまの党の実力が足りない、これを前向きに打開して党の実力をつけるところに、ゆきつくわけであります。選挙戦の政治論戦のうえでの問題点の解明がすすんだことともあいまって、全党のみなさんの目が、「やはり党の実力をつけないと勝てない」――ここに真剣に向けられていることは、たいへん重要なことだと思います。
その基本的な方向は、すでにのべておりますので、とくに討論や感想で出された声にもこたえて、二つのことを強調しておきたいと思います。
一つは、今度の方針では、党づくりの第一の課題に、「支部と党員がまわりの人々と日常的に広く深く結びつく」ということをあげています。この課題を、第二の課題である「要求実現の活動」とは別の柱にして、まず独自に位置づけているということに注目していただきたいと思います。
報告でのべたように、「広く深く結びつく」ということは、「あれこれの党活動の手段ではなく、それ自体が党の活力の根本にかかわる問題であり、党の基本的なありかたにかかわる問題」です。ここが大事なところであります。つまり、あれこれの「手段」、たとえば選挙のためにやる、拡大のためにやる、そのための「手段」だというように狭くとらえないことが大切であります。
たとえば、ある地域に住んでいる党員の方が、よく近所づきあいをして、まわりの方がその家を訪ねればどんな問題でも気軽に相談にのっている、地域の自治会でも熱心に活動してコミュニティーのためにもがんばっている、子育ての悩みにこたえた運動にも参加している――こうして政治的な立場のちがいをこえて、市民として信頼される党員や支部になるということは、それ自体が大きな意義がある活動です。党員がそういう活動をやっている姿は、それ自体が、有権者からみて信頼に足る党だということを、日々の生活のなかでしめすことにもなります。そういう活動で広く国民と結びつき、とけあってこそ、党のあらゆる活動を豊かに発展させる土台を築くことができる。そういう問題提起として、重視してとりくんでいただきたいと思います。
いま一つのべたいのは、党建設の五つの課題を、どう具体化し、実践するのかという問題です。幹部会報告では、基本方向をのべるにとどめ、方針の細目まではたちいっておりません。今年と来年にかけて、腰をすえてとりくむ課題として、この五つの課題を提起したわけですけれども、その具体化は、中央を先頭とする全党の実践をつうじて探求し開拓していきたいと思います。
この点では、参議院選挙にむけてとりくんだ党勢拡大運動の教訓を生かしたいと思います。あの運動では、すぐれた経験の交流の会議が、全国レベルでも都道府県レベルでも地区レベルでももたれました。それから中央と地方が学びあう、あるいは機関と支部が学びあう、双方向・循環型の活動も豊かに展開されました。あのとりくみについて、党大会で決定したのは、「130%の読者拡大に挑戦しよう」という目標だけなんですね。あとは実際の実践のなかで、豊かな経験をみんなでつくりあげていったわけです。
今年と来年の約一年半かけてとりくむ党建設の大運動では、参議院選挙にむけてとりくんだ運動の経験をさらに大きく豊かに発展させて、全党の知恵と力を結集して具体化・実践にとりくみ、強く大きな党づくりの運動として成功させたいと思います。
最後に、宮城の中島さんから、「県・地区党会議、支部総会を、二中総決定にもとづいて年内に開きたいがよいか」との趣旨の質問がありました。それぞれの党会議や支部総会をいつの時期に開くかというのは、都道府県、地区、支部の判断にまかせられるべき問題ですけれども、できるだけ二中総決定にもとづく党会議、支部総会を開くことがのぞましいと考えます。
こんどの二中総の提起というのは、党大会決定との関係でも、大きな方針の発展があります。「二大政党制づくり」とどうやって対抗して、どうやって国民中心の新しい政治の軸をつくるかという問題については、方針の大きな発展があります。ですから、この二中総の方針を重視して、党会議、支部総会を開くことがのぞましいということをのべておきたいと思います。
この二中総は、選挙戦の教訓をふまえて、「二大政党制づくり」に対抗する国民中心の政治の軸をつくるための、長い視野にたった政治的・組織的方針を決める会議となりました。この方針を全党のものとして、党の新たな前進をつくりだすために、中央役員が、おたがいに知恵と力をつくして奮闘しようではありませんか。以上をもって討論のまとめとします。(拍手)