日本共産党

2004年8月17日(火)「しんぶん赤旗」

カジノ解禁動き

自公民 議連つくり法案提出目指す


 政界の一部でカジノ(賭博場)解禁への動きが活発です。秋には自民、公明、民主各党の議員を含めた超党派の議員連盟が発足する見通しで、来年の通常国会に議員立法で「ゲーミング(カジノ解禁)法案」の提出を目指しています。あらたな公認賭博の開設は暴力団の介入や青少年への影響などさまざまな社会問題を誘発する火種になります。


“新たな需要”狙い財界がバックアップ

 カジノ構想は、「構造改革特区」構想のなかで三重県鳥羽市、静岡県熱海市などが名乗り出て、昨年三月には東京、大阪、静岡、和歌山、宮崎の各都府県知事が連名でカジノ合法化を求める要望書を鴻池祥肇構造改革特区担当相(当時)へ提出しています。

 カジノ計画は、リゾート施設やテーマパーク、ホテル、ショッピングセンター、スポーツ施設などと組み合わせた複合娯楽施設と一体化した構想の中に位置付けられ、実現すれば数百億から数千億円の資本を投下する大規模な事業です。

海外へ調査団

 新たな需要をもたらすとして大企業・財界が熱い目を注ぎ、一連の動きをバックアップ。経済財政諮問会議で奥田碩日本経団連会長が四国にカジノ誘致論を展開したほか、日本プロジェクト産業協議会(JAPIC)が都市型複合観光事業研究会をつくり、すでに数次にわたって海外調査団を繰り出しています。総合商社の三井物産、総合広告・イベント大手の博報堂などは社内にカジノプロジェクトを設けています。

大企業の要望

 政界でカジノ解禁の旗を振っているのは自民党の有志議員でつくる「国際観光産業としてのカジノを考える議員連盟」(通称カジノ議連、会長・野田聖子元郵政相、百人)。すでに「ゲーミング(カジノ)法基本構想」を六月十五日にまとめ、法案策定作業に入っています。

 カジノ議連は、カジノ推進の目的について「諸外国においては観光振興、地域再生、雇用増等の政策目的をもってエンターテイメント(娯楽)複合施設としてのカジノを設置し、国内外観光客誘致や地域活性化に貢献している事例が多い」(議連文書)としています。

 カジノ解禁モデルは「米国西部の賭博都市・ラスベガス。四十五万都市で年間三千六百万人の内外の観光客を呼び込んでいる」(自民党関係者)としています。議連側は小泉内閣が音頭をとる「観光立国」政策にも便乗して大企業の要望に沿う方向で早期実現を図りたい考えです。

 カジノは刑法一八五条(賭博罪)、同一八六条(常習賭博罪、賭博場開帳罪など)で禁じられています。内閣提案になじまないということから議員立法の道を探っているものです。

批判回避策も

 自民党議連の基本構想では施行者は地方自治体とし、監督機関として独立行政法人の「カジノ管理機構」を設置。ゲーミング税(カジノ税)の課税、税収の一部はカジノ依存症患者などの予防、カウンセリング、治療の体制整備に充てる――などとしています。ギャンブルを合法化して利益の一部はギャンブル依存症の対策に振り向けるなど社会的な批判を先回りしてかわそうという思惑もみえます。

 最近のサッカーくじ(toto)創設や競馬法「改正」などで政治主導による公認ギャンブル拡大や射幸心をあおる動きには強い批判があります。「カジノ特区」問題では日本共産党の吉川春子議員が二〇〇二年十一月の参院内閣委員会で取り上げ、政府の姿勢を批判しています。



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