日本共産党

2004年8月11日(水)「しんぶん赤旗」

インド・中国 貿易加速

西ベンガル州と雲南省が経済協力へ


図

 インドの西ベンガル州(人口八千万人)と中国の雲南省(人口四千三百万人)が経済協力に踏み出しました。インドのブダデブ・バタチャリア西ベンガル州首相が州都コルカタで六日、中国のシャオ・クイウェイ雲南省副省長と会談。雲南省と西ベンガル州の経済協力を進めるために両地方(省・州)政府と産業家などによる共同作業グループを発足させることで合意しました。(コルカタ=小玉純一)

 ◇

 同州首相は、今年末に北京で開かれる予定の「メード・イン・インディア」展示会参加と雲南省視察に西ベンガル代表団を派遣すると記者団に述べました。近年、両国の経済関係が強化されてきたなか、地方レベルでの経済協力への進展(エコノミック・タイムズ紙)です。

お互いの玄関

 バタチャリア州首相とクイウェイ副省長の会談はインド・中国ビジネス会議の機会にもたれました。同会議は中国国際貿易促進委員会の協力でインド産業連盟が催し、雲南省関係者を中心とする七十六人の中国経済代表団をはじめ西ベンガルの企業幹部ら計三百人以上が参加し盛況でした。インド産業連盟によれば、中国の経済代表団がコルカタを公式訪問するのは初めてです。

 ビジネス会議では経済人のほか州首相と副知事もあいさつし、「雲南は南アジアと東南アジアに対する中国の玄関」「コルカタは東インドの玄関」と述べ合い、自然環境にも恵まれた両者の観光振興での協力やコルカタ・中国間の直行便の希望が出されました。州首相は、西ベンガル州が発展させてきた鉄鋼業などでの協力、基幹産業の農業での技術協力に言及。中国側経済人はインドの水準の高い英語教育などでの期待を述べました。

中・韓の1割

 インド・中国貿易は、総額では中国・韓国貿易の十分の一程度(二〇〇二年)。しかし、二〇〇三年の印中貿易は前年比五割増、二〇〇四年上半期は前年同時期比九割増と急速に拡大しており、今後いっそうの拡大が予想されています。他方、二〇〇三年9・1%成長の中国のなかで雲南省は12%と成長地域。西ベンガルは〇三年8%弱の成長率で、両地域の経済協力は両国の関係強化にも大きな貢献になるとみられます。

途上国の役割

 コルカタの英字紙テレグラフ七日付は州首相と副省長をさして「二人の共産主義リーダー」と呼び、彼らが「攻勢的マーケティング」をしていると書きました。西ベンガル州は一九七七年以来、インド共産党(マルクス主義)を中心とする左翼戦線が政権を担当。その左翼勢力が閣外支持するインド中央政府の国民会議派主導の連立政権も、昨年六月の印中首脳会談(バジパイ印首相と中国の温家宝首相、同印首相と胡錦濤国家主席)で強化された対中関係を重視しています。

 ナトワル・シン外相は六月、印中の指導者が合意した平和五原則の五十周年記念行事で、両国関係強化を強調。バタチャリア州首相も今回の会議で平和五原則に言及しました。州首相はまた最近の世界貿易機関(WTO)交渉にふれ「われわれは多極的世界に生きている。発展途上国がいまやWTOで重要な役割を果たすようになった」「より平等な世界貿易に向かう動きは途上国を守るものだ」と述べました。

 あわせて地球人口の三分の一という二大国のインドと中国。国際政治と国際経済でのその役割や両国関係が今後さらに注目されそうです。



もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp