2004年8月10日(火)「しんぶん赤旗」
企業の負担割合をみると、さらに税と社会保険料の負担を軽減しろという財界・大企業の気持ちもわかるような気がしますが…
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たしかにおっしゃるように、二〇〇四年度予算の国と地方の税収の内訳(財務省発表)を見ると、企業が納める法人三税(法人税、法人事業税、法人住民税)が占める割合は20・6%となり、個人の所得にかかる税金(所得税、個人住民税、個人事業税)の29・1%に次ぐ大きさです。消費税が占める割合は15・6%です。
税だけでなく、社会保険料も含めた国と地方の収入全体に占める割合で見ると、法人所得課税は13・5%、企業による社会保険料負担は18・6%などとなります。これらを合わせると企業が負担する税と社会保険料負担は32・1%の割合を占めます。
一方、同じ割合をヨーロッパ諸国で見てみると、高福祉の国といわれるスウェーデンでは33・8%、フランスでは34・1%、イギリスでは19・2%などとなっています。これを見ると、日本の企業もヨーロッパの企業とくらべ遜色(そんしょく)のない負担をしているのではないかと思えます。
日本経団連はこうした現状をとらえ、政治献金をめぐる政党の評価項目の中で「世界的に割高な法人実効税率を少なくとも欧州主要国並みに引き下げる」「租税負担と社会保障負担を合わせた企業の公的負担を抑制する」と主張。「国際競争力を強化する」ために、国際的にも「高い」負担を抑制することを求めています。
一見、根拠のありそうなこの議論ですが、はたして本当にそうでしょうか。
OECD(経済協力開発機構)の統計をもとに、国民所得にたいする企業の税と社会保険料負担を見ると、ヨーロッパ諸国と日本の企業の負担のあり方が浮き彫りにされてきます。
その国の経済力の大きさをあらわすのが国民所得です。国民所得に対する企業負担の割合は、その国の企業が経済力にふさわしい負担をしているかどうかということを示すことになります。
各国の国民所得に対する企業負担の割合を見てみると、日本の企業が負担する税と保険料の割合は12・4%、スウェーデンは同25・8%、フランスは同23・6、イギリスは同15・9%となります。
日本の企業負担の割合はスウェーデンやフランスなどと比べて約二分の一。日本の企業が、アメリカに次ぐ世界第二位の経済力にふさわしい負担をしていないことを示しています。
この間、日本では、法人課税を相次ぎ減税する一方、消費税を導入(一九八九年)し、税率を3%から5%に引き上げ(九七年)てきた結果です。
日本の一部大企業は、輸出の好調やデジタル製品の好調を背景に、空前の利益を上げています。そうした大企業に、ヨーロッパ並みの応分の負担を求めることこそ必要です。