日本共産党

2004年8月10日(火)「しんぶん赤旗」

サッカー・アジアカップが
提起したもの


 七日終了したサッカー・アジアカップは、一部の中国人サポーターが、選手にもサポーターにももっとも求められるスポーツ精神に反する行為をおこなったことなどから、大きな議論をよびました。

 日本チームが予選リーグと準々決勝をたたかった重慶では、中国人サポーターが日本のサポーターにたいして物を投げたり、罵声(ばせい)を浴びせました。北京での日本対中国の決勝戦を前にして、中国政府は「一部ファンの行き過ぎた行為はスポーツ精神に反しており、賛成しない」(中国外務省孔泉報道官)と非難し、トラブル防止のための措置をとりました。

 しかしそうしたなかでも、一部の中国人サポーターは決勝戦の終了後、道路を封鎖したり、日本公使の車のガラスを割る、日本チームのバスを取り囲み、物を投げるなどの騒ぎを引き起こしました。これらは、スポーツ愛好者だけでなく、日中両国国民の友好の気持ちを傷つける、あってはならない行為です。

 スポーツの試合は、選手が、日ごろ鍛えた能力とフェアプレー精神を発揮して全力でたたかい、終われば選手とサポーターが敵味方なくたたえあうところにすばらしさがあります。スポーツはこういう特徴をもつゆえに、国際交流を通して、各国国民の相互理解と友好を強め、さらには世界平和に貢献することができるのです。スポーツへの政治の介入がいましめられるのもそのためです。

 一部の中国人サポーターの行為が、日本軍国主義の中国への侵略戦争や占領支配という日中間の歴史問題への感情をあらわしたり反映したものだとしても、それは解決方法のはきちがえであり、間違ったことです。歴史問題は、スポーツの場ではなく、政治の場で解決されるべき課題です。こういう形での発現は、日中両国国民間に不信をつくり、増大させ、問題解決の妨害になるだけです。

 もちろん日中間の歴史問題については、それとして解決する必要があります。日本は過去の侵略戦争についてきびしく反省すべきですし、小泉首相の靖国神社参拝など、歴史問題の解決に反する行動をとるべきではありません。日中両国があらゆる問題を平和的な話し合いで解決することこそ大切です。

 二〇〇八年には北京でオリンピックが開かれます。その成功のためにも、スポーツ精神を社会のなかに定着させるという、中国社会全体がのりこえるべき課題が提起されているといえます。(利)



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