2004年8月8日(日)「しんぶん赤旗」
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新潟・福島・福井各県の豪雨災害のつめ跡は今なお深刻です。日本共産党は国会議員、地方議員、党支部などの力を集め、行政に働きかけ、救済ボランティアにも取り組んできました。復旧の課題と党の活動について、日本共産党豪雨災害対策本部長の高橋千鶴子衆院議員に聞きました。
私は、新潟、福島、福井の被災現場を災害直後から現在までそれぞれ二回訪れ、切実な要望をうかがいました。被災者は今も泥とのたたかいです。「泥水につかって悪臭のひどい家屋に住めない」「壊れた家をどう再建するか」など途方にくれています。
こうした人たちに暮らしや営業再開への希望を持ってもらうことが政治に求められていると痛感します。私たちは、被災者の声を行政につきつけ、実態にあった支援を求めてきました。
志位和夫委員長は二日の衆院代表質問で、「災害から国民の命をまもること、被災者の生活と営業を復興すること――これは政治の力でできることであり、国の重大な責任であります」と主張しました。そして、現行法を最大限活用すること、「自然災害による個人財産被害は補償しない」としてきた政府の姿勢の転換、住宅や町工場の修繕・建て替えへの直接の公的支援を求めました。
政府はこれまで個人財産の被害補償は否定してきました。今回、小泉首相は「居住安定支援制度を活用した生活再建支援に最大限努力する」と答え、「個人の住宅本体にたいする公費支援について…今後さらに議論を深めていく必要がある」と答弁しました。この答弁を被災者支援に生かし、実現させていくことが重要です。
被災者生活再建支援法はことし三月に、支給額を最大三百万円に引き上げ、新たに大規模半壊への支援金支給も盛り込みました。今回の水害は同法改正後初のケースです。床上浸水のように、建物はそのままでも泥水につかり、家財道具も一切失うなど、現実に住めない住居を対象として認めさせることが最大のポイントです。この点を七月二十二日、井上喜一防災相に緊急に申し入れました。
翌日、中央防災会議で、小泉首相は同法を柔軟に積極的に活用することを指示しました。二十八日、内閣府は「半壊であっても流入した土砂の除却や耐え難い悪臭のためやむを得ず家屋を解体する場合『全壊』として取り扱う」など、「被害の実情も踏まえて」運用することを関係自治体に連絡しました。二十九日の衆院災害特別委員会での私の質問に内閣府の政策統括官は「実態に応じて支援法の対象となる」ことを確認しました。
内閣府の佐藤剛男防災副大臣に電話連絡したとき、「具体的な提案をしてくれてありがとう。現地が大変だから国としてもがんばらないといけない」と話していました。
新潟、福井両党県委員会代表とともに三日、国土交通省などの省庁で要望書を提出したさい、佐藤副大臣は「水害の特殊性を考え、弾力的に極限まで被災者生活再建支援法の解釈を広げて救済したい。自治体から要望をどんどんあげてほしい」と回答しました。
被災者の運動といっしょに政治を動かしていることを実感しています。
災害救助法第二条では「現に救助を必要とする者」に救助をおこなうことになっています。住宅の応急修理についても、必要最小限度の補修に現物給付できるという同法の規定をフル活用すべきだと政府に求めました。応急修理については一世帯約五十二万円の支援額が示され、実情に応じて対応できることになっています。
厚生労働省は、床上・床下浸水でも当面の日常生活に支障が出る場合、応急援助できると認めました。災害救助法にもとづく国と自治体の協議で、被害の実情に応じた「特別基準設定の用意がある」とも答弁しました。三日の交渉では切実な要望のある畳の張り替えも検討するとしています。
現行の災害救助法をフルに活用せよ――という提起は、今回の国会審議で日本共産党だけが求めたことでした。
地域経済を担う地場産業、中小企業が事業再建できるかどうかも本当に重要です。不況で借金を抱えた業者は、低利でも新たな融資を受けるのは困難です。国保税減免措置を国として自治体に促すこと、政府系でない金融機関の借り換え融資や繰り延べなどの実施、被害を受けた機械の無償貸与など「思い切った支援があってもいい」と私は委員会で要求しました。政府は無償貸与について「一定の対応はしうる」「地元の実態をより詳しく調査し対応策をともに考えていく」と答えました。
住民の貴重な足である福井県のJR越美北線の早期復旧問題もとりあげました。福井県の災害担当者は「国が早い復旧にむけて、JRにたいして強く指導するという答弁を(高橋議員が)引き出していただいたことは本当にありがたい。今後の力になります」と、佐藤正雄党県議に話したそうです。
今後も被災者の声を受け国会・地方議員一体になって力を尽くしていきます。
居住安定支援制度 ことし三月に改定された被災者生活再建支援法に盛り込まれた制度。解体撤去費用や住宅ローン利子、保証料などが対象で最大二百万円を支援します。住宅の建設費・補修費も対象にした住宅再建支援制度の創設・同法の改正も切望されています。