2004年8月6日(金)「しんぶん赤旗」
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厚生労働省が一括購入している出版物は総額約三十六億円にのぼり、そのすべてが随意契約だった――こんな厚労省の驚くような発注の実態が五日の参院厚生労働委員会で明らかになりました。日本共産党の小池晃議員がとりあげたもの。坂口力厚労相は、随意契約に至った経緯について調査を検討する意向を示しました。
小池議員の調査によると、厚労省の各局が昨年度一年間に一括購入した出版物(購入部数が一千部以上か購入額が百万円以上のものを対象)は四百八件で総額三十六億六千二百三十九万七千五十四円(表参照)。しかもそのすべての発注が随意契約です。トップは社会保険庁で八十七件、約十九億円にのぼります。
小池議員の調べによると、社保庁と出版物の一括購入の随意契約をしている企業・団体数は三十一。このうち八企業・団体に厚労省職員OB二十七人が天下りしています。三人が天下りしている社団法人・全国社会保険協会連合会は三億二千万円の受注をする一方、職員に出版物にかかわる監修料を支払っていました。
これらの実態を明らかにした小池議員は「年金改悪などで国民に痛みを押し付けながら、出版物を天下り先の会社に随意契約で発注する。そして監修料が厚労省に払われる構図だ」と指摘。「省全体の監修料の実態を調査するといっているが、問題はそうした取引がどういう経過で行われるようになったかだ」と随意契約に至った経過についての調査を求めました。
随意契約 官公庁の発注方法の一つ。通常は複数の業者による競争入札が原則となっていますが、例外として競争入札せずに、適当と思われる業者と契約をする方法。厚生労働省などの一連の汚職事件では、業者との癒着の温床となっていました。 |