2004年8月4日(水)「しんぶん赤旗」
参院選後初の国会論戦が二、三の両日、衆参本会議で行われ、選挙で問われた年金や消費税増税、憲法問題について各党の姿勢が表れました。
参院選で示された改悪年金法に対する「ノー」の民意をどう受け止めるのか。日本共産党の志位和夫委員長は、国民の信頼がなければ制度が成り立たないと追及。民意を受けとめて改悪年金法を白紙に戻し、誰もが安心できる年金制度をつくるべきだとのべました。
ところが小泉首相は「何事にも賛否両論がある」「廃止は考えていない」と、あくまで十月施行の考えを示しました。
自民党は「批判を覚悟の上で強行してでも年金法案を成立させた」(中山成彬衆院議員)、「抜本改革の一里塚だ」(常田享詳参院議員)と改悪年金法を合理化。消費税増税に道を開く自民、公明、民主の「三党合意」を引き合いに出し、「公党との約束を守らない」と民主党を責めました。
民主党の岡田克也代表は改悪年金法廃止を求めつつ「社会保障制度について政党間で協議するとともに国会に小委員会を設けての議論は必要だ」と認め、“社会保障の財源”の名で消費税増税を狙う政府・与党の土俵に乗る姿勢を示しました。
在任中は引き上げないとしている小泉首相が「議論は大いにしてほしい。三党協議のなかで民主党も提案し、まず三党間で議論されるべきだ」と水を向けると、岡田氏は「将来の消費税引き上げを決定しないとの前提では抜本的な年金制度の改革論議は不可能だ」と増税をあおりました。
これに対し志位氏は、「福祉のためといって福祉を破壊する消費税を引き上げることは本末転倒だ」と批判。消費税に頼らなくても安心できる社会保障を築く改革の提案を示しました。
参院選中に小泉首相が「集団的自衛権行使のために改憲が必要だ」と発言し、アーミテージ米国務副長官が憲法九条を攻撃するなか、憲法改定問題も焦点になりました。
日本共産党の志位委員長は九条改定が日本を「米国とともに海外で戦争をする国」に変えることだと批判。「二十一世紀の日本がなくすべきは憲法九条ではなく日米安保条約だ」とのべました。
首相は「憲法解釈の変更で集団的自衛権を認めるべきだとの意見があるのも承知している」「正面から憲法改正を論議することで解決を図るのが筋だ」とのべ、改憲による集団的自衛権行使に踏み込む答弁をしました。
民主党の岡田氏は、自衛隊の多国籍軍参加について「憲法上疑義がある」とのべましたが、訪米中に「憲法を改正して国連安保理の明確な決議がある場合に武力行使を可能に」すべきだと発言したことなどについてはふれませんでした。