日本共産党

2004年8月3日(火)「しんぶん赤旗」

歴史わい曲の動きに警鐘

ワルシャワ蜂起60周年記念式典

独首相が初参加で謝罪


 【ベルリン=片岡正明】第二次世界大戦中にナチス・ドイツからの解放を目指しポーランドのワルシャワ市民が蜂起した「ワルシャワ蜂起」六十周年の式典が一日、ワルシャワ市内各地で開かれ、ドイツのシュレーダー首相が独首相としてはじめて参加しました。

 シュレーダー首相にとっては、第二次大戦の転換点となった連合軍の「ノルマンディー上陸作戦」六十周年記念式典(六月六日)に続いての参加となりました。英BBC放送電子版は「きわめて重要な意思表示」と評しました。

 シュレーダー首相は一日夜の記念コンサートでの演説で、数多くのワルシャワ市民を殺した「ナチスの軍隊の犯罪」を非難、「ポーランドの誇りとドイツの恥辱の場所で和解と平和を希望する」と表明。「誰も歴史を変えることはできない」「歴史を間違って解釈しようという試みには断固として立ち向かう」とナチス・ドイツの犯罪を軽く見ようとする動きを警告しました。また大戦後の国境変更でポーランドから追放されたドイツ人がポーランドに残した財産の返還を要求していることについて「(戦争を始めたのはドイツであり)原状回復の要求の余地はない、財産返還問題は独・ポーランド両政府の交渉テーマにはならない」と述べました。

 シュレーダー首相はベルカ・ポーランド首相に対し「ドイツはポーランドに多大の苦しみを与えた。私を招いてくれたポーランド国民に感謝する」と語りました。

 一方、クワシニエフスキ・ポーランド大統領は「ポーランド・ドイツ両国の痛ましい過去は両国と欧州、世界にとってよい教訓と警告になるだろう」と語りました。

 ドイツとポーランドの関係は、一九九〇年の国境画定条約、九一年の友好善隣条約で、戦後問題は基本的に解決しています。また、残されていた戦争中のドイツによるポーランド人強制労働への謝罪、補償問題でも、ドイツが公式に謝罪、被害者に対して関係企業と政府との折半負担で補償が実施されました。そして追放されたドイツ人の財産について、この日のシュレーダー首相の発言で、ドイツ側の態度が示されたといえます。

 この式典には米国からパウエル国務長官が出席しました。ポーランド政府側が「ワルシャワ蜂起」での米英ロの態度について「裏切られた」「何らかの謝罪が望ましい」と述べていることに対し、「裏切りというのは適当な言葉ではない。当時はポーランドに行き着くのに困難があった」との表明にとどまりました。

カット

ナチスが虐殺、18万人死亡

ワルシャワ蜂起 一九四四年八月一日、地下に潜伏していた抵抗組織を先頭にワルシャワ市民がナチスに対して蜂起、戦闘は六十三日間に及びましたが鎮圧され、死者十八万人にのぼりました。当時、ワルシャワの目前まで進軍していたソ連軍はスターリンの命令により進軍を停止。また米英軍も救援を求めた蜂起の市民を援助しませんでした。




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