2004年8月2日(月)「しんぶん赤旗」
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来年の中学校教科書への採択をねらって、「新しい歴史教科書をつくる会」が文部科学省に申請した改訂版歴史教科書のポイントが同会の会報『史』(ふみ)七月号でわかりました。会報は、「『南京大虐殺』『朝鮮人強制連行』『従軍慰安婦強制連行』などの嘘(うそ)」は「一切書かれていません」などと歴史の真実を覆い隠す内容を誇示しています。
今夏、東京都教育委員会は、現行版の「つくる会」歴史教科書を東京都立中高一貫校で採択する動きを強めています。都での採択が「つくる会」歴史教科書を今後全国に広げる突破口とされる恐れがあり、国内外で反対の声が強まっています。
「つくる会」は、二〇〇一年に検定合格した歴史教科書の採択運動を進めるとともに、さらなる採択をねらって、今年四月、改訂版を文部科学省に申請しました。
「改訂版」のポイントを初めて公開したのが『史』七月号です。
このなかで、「つくる会」副会長の藤岡信勝拓殖大学教授は、自身が執筆した、改訂版『新しい歴史教科書』について説明。「日本を糾弾するために捏造(ねつぞう)された、『南京大虐殺』『朝鮮人強制連行』『従軍慰安婦強制連行』などの嘘も一切書かれていません。旧敵国のプロパガンダから全く自由に書かれている」と、その特徴を語っています。
南京大虐殺や、朝鮮人強制連行、従軍慰安婦強制連行は、いずれも歴史の事実です。これを「嘘」「捏造」などという教育を受けて信じた生徒は、日本の侵略の歴史について真実を知らされないばかりか、かつて日本の侵略を受けた近隣諸国の国民からも反発を受けることになります。
「つくる会」の現行歴史教科書についても、文部科学省が一部修正で検定合格させたことに、アジア諸国から厳しい批判があがりました。〇一年の中学校教科書の一斉採択では、反対の世論と運動を前に「ゼロ採択」にとどまりました。