2004年7月31日(土)「しんぶん赤旗」
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東京都内で開かれていた全労連(全国労働組合総連合)第二十一回定期大会は三十日、引き続き討論を続行し、運動方針など諸議案を満場一致で採択。閉会しました。
三日間でのべ六十九人が発言。結成十五年の節目となった今大会は、くらしと平和を守る旗を掲げ、職場、地域からの草の根の運動を盛り上げ、自民、民主の「二大政党」が競い合う憲法改悪を阻止し、組織拡大・強化にむけて総力をあげる決意を込めた意気高い討論をくり広げました。
坂内三夫事務局長は総括答弁で、「何としても憲法を守り、組織的前進をはかろうという運動方針に熱い討論と賛同が集中しました。一人ひとりの発言者に感謝したい気持ちでいっぱいです。全労連に結集する単産、地域、すべての組合員が集中してとりくむならば、かつてない飛躍が可能とのべましたが、見事に証明されました」と強調。多岐にわたる討論が建設的で全労連運動の未来を感じさせたとして、「暑い夏、力いっぱいたたかいぬき、実践する全労連に大きく成長しよう」とよびかけました。
高知県労連から初めて大会に参加した草野耕一さん(31)は「大会でえた確信を胸に、高知に帰るとすぐさま具体的に足を踏み出していきたい。二年後の大会では、その実践報告を発言したい」と決意を語っていました。
大会で選出された新役員は次の通りです。(敬称略、新以外は再任)
▽議長=熊谷金道▽副議長=生熊茂実、岩佐敏明、大木寿、国分武(新)、駒場忠親、田中千恵子、中山伸、西川征矢▽事務局長=坂内三夫▽事務局次長=岩田幸雄、宮垣忠(新)
全労連大会三日目の討論では、不安定雇用労働者をはじめ切実さを増す要求をくみあげ、労働条件の改善、権利擁護で奮闘している経験や憲法改悪を許さない決意を次々と発言しました。
映演総連の代議員は、アニメーションや演劇の現場が事業主契約で、長時間労働を強いられており、俳優や監督は裁量労働で労働災害すら適用されず、解雇もまかり通っている劣悪な実態にあると告発。長年の粘り強い運動のなかで、国も重い腰をあげ、映画・アニメ制作現場の実態調査に乗り出すことになったとのべ、表現の自由が極端に規制された戦前の苦い教訓から、映画・演劇人が憲法改悪反対で奮闘したいと決意を語りました。
自治労連の代議員は、有事のさいのプログラムづくりがスタートし、自治体と住民を戦時体制にまきこむ動きが強まっていると強調。すべての自治体首長との対話や自治体での「九条の会」づくりを推進したいとのべました。自治体で働く非正規職員を組合員に迎え、組合づくりがすすんでいることを発言しました。
奈良県労連の代議員からは、年間四百五十件の労働相談が寄せられ、解雇撤回や過労死した遺族の支援など、切実な要求実現へ県労連が先頭に立って奮闘していることを紹介。「非正規も同じ働く仲間」と組合に迎えているとのべました。
京都総評の代議員は、不安定雇用労働者の存在が日本の労働者全体の労働条件や賃金に影響を与え、賃金改善と雇用安定は不安定雇用労働者だけの問題ではないと強調。地方労連や組織労働者がすべての労働者を視野に入れ、要求実現と組織拡大へ本格的にとりくんでいきたいと表明しました。
全労連大会の終了後、再任された熊谷金道議長をはじめ、副議長、事務局長、事務局次長の新役員が記者会見しました。
熊谷氏は「提起された憲法改悪阻止の課題と組織拡大・強化に全力をあげるという方針にそって集中した討論がおこなわれ、春闘での賃金底上げや最低賃金引き上げを求める豊かな経験が交流されました」と指摘。「方針を実践していくうえで、人間的な信頼関係が大切です。職場、地域の仲間と本音の話をしながら、百三十万人全労連の持つ力を引き出すため、努力をしていきたい」と抱負を語りました。