2004年7月26日(月)「しんぶん赤旗」
福井・新潟の水害被災地では全国各地からボランティアが集まり、被災者を勇気づけています。とくに二十四、二十五の両日は多くのボランティアが参加し、青年の姿が目立ちました。
「塩分、水分をこまめに取ってください」。豪雨被害から初の土曜日、日曜日を迎えた福井・美山町西河原では、猛暑のなか救援活動を気遣うアナウンスがたびたび流れました。
「予想よりはるかにこたえます」。愛労連、愛知高教組、全印総連など七人の仲間と名古屋から駆けつけた間瀬宗隆さん(29)=名古屋市職労=は、長靴やズボンを泥だらけにしながら、民家床下からスコップで泥をかき出します。「二〇〇〇年の東海豪雨でお世話になった恩返しなんです」
かき出した泥をバケツに入れて運び出す柴田千香沙さん(26)=日本共産党愛知県委員会勤務員=は七人中の最年少。「どれだけ運び出したら終わりか、見当もつかないのが精神的にこたえます。被災者はそんな思いを毎日していて、すごくつらいだろうなって。ボランティアでは限界があるので、行政の対応が急務では」
福井駅前の民主団体等ボランティア受付センター(新婦人福井県本部内)で、七人と合流した管政裕さん(51)=兵庫・西宮市=は阪神淡路大震災で被災。神戸市灘区で親せき二人が犠牲になりました。「当時、他県からの給水車を見て泣きました。救援に来ていただいた方々にどれだけ励まされたことか。何とか、お返しがしたかった」
福井県では土曜、日曜で一万七千人余がボランティアに参加しました。
街中に腐った泥のにおいが立ちこめる新潟県三条市。販売用の仏壇が泥にまみれ、途方にくれる店員の姿もみられます。大きな力を発揮しているのがボランティアです。
関正芳さん(29)=新潟・掘之内町=は、「一日でも早く復興に向かうよう、できることがあれば協力したい」と日本共産党のボランティア募集に応じて駆け付けました。「想像以上にひどい。三十―四十センチも泥がたまっているところもあった」といいます。
作業はおもにスコップ。床板をはがし、ひたすら泥を取り除き、土のうに詰めていきます。夏の暑さも手伝って、あっという間に玉のような汗。
「地獄に仏とはこのことです」と被災者の丸山邦夫さん(72)。胸の辺りまで浸水しました。水が上がってくる間、家がガタガタ揺れたといいます。家財道具と床上にたまった泥は除去したものの、「床下まではあきらめていた」状態でした。妻の寿代(すよ)さん(63)も「ほっとしました。ありがとうございました」と何度も頭を下げました。
三条市災害ボランティアセンターには連日、数千人規模でボランティアが来ています。週末の三日間だけで、六千七百人以上が参加しました。
山形県米沢市の五十嵐卓哉さん(22)=大学生=は研究室の先輩三人を誘って参加。「街中にはまだ泥やゴミがたまっています」と意気盛ん。先輩たちも「アルバイトでは感じられない充実感があった」「誰かの力になれる、というのがいいんだと思う」と話しました。
学生たちと一緒にボランティアをしていた福島・会津若松市の加藤忠正さん(42)=会社員=は「若い人たちは暑い中でも手を抜かずに一生懸命やっていました。その姿をみると、日本も捨てたもんじゃない、と思う。今後もいろんな形で生かしてほしいですね」と話していました。