2004年7月25日(日)「しんぶん赤旗」
韓国政府は二十三日、米韓両国が同日ワシントンの米国防総省で開いた「未来の韓米同盟政策構想」協議で、首都ソウルの龍山にある米軍基地の移転計画に最終合意したと発表しました。両国は韓国全土の米軍基地再編計画の修正でも合意。四十一の米軍基地を十七に統合し、総面積も現在の三分の一に縮小されます。
龍山基地と同基地に駐留する約八千人の米軍将兵は二〇〇八年までにソウル南方八十キロの平沢市地域に移転します。このほか、釜山、大邱、仁川、春川、議政府、原州など各地方都市の市内にある米軍基地も順次移転。韓国政府は、これによって首都と地方の都市計画の障害が解消されるとしています。
また、北朝鮮との休戦ライン近くに展開している米第二歩兵師団の施設も、二段階に分け平沢市地域に移転します。米国は三万七千人の在韓米軍兵力のうち一万二千五百人を〇五年末までに撤収させることをすでに決めており、この大部分は第二歩兵師団の兵力とみられています。
ただ、平沢市地域にはすでに空軍基地など米軍施設が集中しているうえ、龍山基地移転に伴いさらに千百五十ヘクタールの土地が収用されることになります。また、基地移転費用は韓国側が負担することが決まり、市民団体からは強い批判が出ています。
一方、米軍基地からの燃料流出、毒劇物の垂れ流しなど深刻な環境汚染については、米韓合同で調査したうえで汚染が確認されれば、米側の負担で環境の原状回復を図ることで合意しました。
韓国内では、基地縮小を歓迎する一方、在韓米軍の戦力強化につながるとの懸念も出ています。在韓米軍の再編は、米ブッシュ政権が進める世界規模の米軍再編の一部であり、空軍力と機動性の向上によって攻撃力はむしろ高まるといいます。
韓国の平和団体「平和と統一を開く人々」は二十三日に声明を発表し、「北東アジアを軍拡競争と軍事的緊張のもとにおく」と批判、再編される米軍が先制攻撃戦略に利用される危険を指摘しています。面川誠記者
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龍山米軍基地 ソウル駅の南わずか一キロに位置し、面積は二・九平方キロ。在韓米軍司令部、在韓国連軍司令部、米韓連合軍司令部が入る中枢基地。この地に初めて外国軍が駐留したのは一八八二年の軍人暴動に日本とともに介入した宗主国の中国(清)軍。日清戦争(九四―九五年)後から日本による植民地支配時代までは日本軍が駐留し、一九四五年に米軍が接収。四九年、米軍が撤退しますが、朝鮮戦争(五〇―五三年)以降、再び米軍が駐留しています。