2004年7月20日(火)「しんぶん赤旗」
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小泉内閣は五月の完全失業率が4・6%になったことなどを理由に、雇用情勢は改善の方向にあると強調しています。しかし、信金中央金庫総合研究所がこのほど公表した計算結果によると、実質的な失業者である求職意欲喪失者(求職活動をあきらめた人)を総務省調査の完全失業者数に加えた「修正失業率」は、完全失業率が5・3%に低下した二〇〇三年でも6・1%と高率だったことが分かりました。
同総研は「雇用の回復は賃金の低いパートや派遣が中心であり、また、求職活動を断念したことで失業者にカウントされない離職者が増えている。企業のコスト削減意欲も依然として強く、雇用調整(人件費削減)の動きが続いている」と指摘。「公式統計が示唆するほど失業の状況は改善していないと考えられる」と分析し、雇用情勢は小泉内閣のように楽観視はできない情勢であることを強調しています。
総務省の労働力調査は、調査期間の月末一週間に(1)仕事がなく(2)仕事を探していた(3)仕事があればすぐに就業が可能―の三つの条件を満たす者のみを「完全失業者」としています。
試算はこの(2)の「仕事を探していた」に注目。「職を失っても職探しをしていない者、職探しを一時的に中断している者は、実質的に失業者であっても統計上は失業者ではなく、非労働力人口となる」「雇用環境が悪い時期には、失業者が求職活動を一時的に中断したり、パート労働の主婦などが職探しを休止するため、離職者が非労働力化する傾向がある」「こうした求職意欲喪失者は統計上、非労働力人口であるが実質的には失業者である」と強調しています。
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非労働力人口は高齢化の進行で増加する傾向もあるため、同総研はこの非労働力人口から求職意欲喪失者を分離。その結果、求職意欲喪失者数は二〇〇〇年の十四・七万人から〇一年二十九・九万人、〇二年五十一・七万人に急増し、〇三年には五十九・四万人に達したと推計しています。
実質的な失業者であるこの求職意欲喪失者を総務省の労働力調査結果に加算して「修正失業率」を算出したところ、完全失業率が5・4%だった〇二年の「修正失業率」は6・1%、完全失業率が5・3%に低下した〇三年も同6・1%と横ばいにとどまったと推計しました。
このことから同総研は、「〇三年の失業率が前年比で改善したのは、景気の回復が一因ではあるが、求職意欲喪失者の増加で統計上の失業者の増加が抑制された影響も大きく、公式統計が示唆するほど失業の状況は改善していないと考えられる」と結論付けています。