日本共産党

2004年7月20日(火)「しんぶん赤旗」

公明頼り 自民侵食


 参院選で敗北した小泉・自民党は、公明党との連立継続で政局を乗り切ろうとしています。選挙も政権も公明党頼み。それが自民党をますますむしばんでいます。


重点選挙区3勝7敗

 「公明党には大変お世話になりました」

 参院選後、小泉純一郎首相、安倍晋三幹事長は公明党の神崎武法代表らに頭を下げました。自民党は改選議席以下の四十九議席しか獲得できず、敗北。公明党・創価学会票に支えられなければ、獲得議席はさらに下回り、「小泉退陣」論が自民党内から噴出したかもしれません。小泉首相にとって、公明党・創価学会は「命綱」というわけです。

 激戦選挙区の自民党関係者はこう振り返ります。

 「業界団体は員数はそろっていても中身は空洞化している。建設業界も農協もどこもこれまでの自民党の支持基盤はがたがただから、一人区の激戦区では、衆院議員の後援会組織をあげて選挙をやった。それでも足りずに創価学会に頭を下げた」

 最終盤、小泉首相や安倍幹事長の意向を受け、青木幹雄参院幹事長と久間章生幹事長代理が創価学会の秋谷栄之助会長と懇談。ピンチの十選挙区へのテコ入れを要請しました。

 比例は公明党に売り渡しても、選挙区で勝ちを拾いたいという、政党としては逆立ちした選挙戦術。しかしそこまで公明党・創価学会にひざを屈して懇願しても、十選挙区の結果は自民党の三勝七敗でした。

保守層食い込み戦略

 公明党・創価学会にとっての選挙協力とはなんなのか。

 創価学会は来年創立七十五周年。今年を「創価完勝の年」と位置づけ、参院選比例区で一千万票の獲得を掲げました。そのために自民党から比例票を取り込むのがねらいです。

 比例区で当選した公明党の弘友和夫陣営の内部資料があります。「2004年参院選党全体戦略」。その戦略の重要な柱とされたのが自民党支持層への食い込みです。「昨年の統一選・衆院選での協力関係を生かし、更に開拓・拡大を図る。頂上作戦だけでなく、地域で共闘関係を築き、保守層への支持拡大を推進する」と書かれています。

 「保守層への支持拡大」の対象とされているのが「明朝会」。昨年総選挙で公明党の支援で当選した自民党の三原朝彦衆院議員側が、「比例は『公明党』」に投票するためにつくった組織。三万人を求められました。

 選挙協力の見返りはさらにエスカレートしました。今年に入り、公明党側は一万人規模で弘友後援会への加入を要求したといわれます。

 公明党が求め、自民党が「比例票」の提供に応じる動きは全国的に展開されました。

 「ご恩返しの意味も含め、荒木先生(清寛・参院議員)が必ず当選するよう全力を尽くします」。静岡の自民党衆院議員は、公明党の会合でこう誓いました。北海道でも九州でも自民党衆院議員が「恩返し」といって狂奔しました。

 沖縄では、自公が政策協定で公然と「選挙区と比例の選挙協力」を明記。岡山、大分、長崎など各地で万単位の後援会名簿を公明党に差し出しました。

 「公明党側は一つ一つの選挙区をつぶさに調べて、自公の力関係を見極めつつ、自民党が応じざるを得ないように追い込んでいく」と、自民党のベテラン議員は指摘します。

「総選挙は展望ない」

 自公選挙協力は、自民党を内部から掘り崩し、矛盾と限界も見えてきています。

 自民党が獲得した比例票は、千六百八十万票でした。昨年総選挙の二千六十六万票、前回参院選の二千百十一万票から減る一方です。

 一九九八年以降、自公協力の先頭を走ってきた沖縄。主要選挙ではじめて自公候補が負けました。公明党も前回参院選より比例で二万票減。自民党の前衆院議員は「“自公連立”という意味を公明党拡大のためにだけ解釈している」とホームページ上で、自公選挙協力を公然と批判しています。

 自民党幹部のなかからも、「公明党に頼り、ますます足腰が弱くなる傾向がある」「このままでは次の総選挙は展望がない」という声。党内の亀裂と混迷が深まっています。


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