日本共産党

2004年7月19日(月)「しんぶん赤旗」

14500人がストライキ

2工場で1000台の生産止まる

経費削減に労組抗議

ドイツ自動車・ダイムラー社


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ダイムラークライスラー社の経費削減計画に抗議しデモ行進するジンデルフィンゲン工場労働者=15日(IGメタル・シュツットガルト支部ホームページから)

 ドイツ南西部シュツットガルト近郊にある自動車大手ダイムラークライスラーの二つのメルセデス生産工場で十七日、経営者側の労働時間の実質延長など大幅な経費削減計画に抗議し、労働者約一万四千五百人が職場放棄しました。二工場での土曜日の職場放棄は先週に続くもので、これにより約千台の生産が停止しました。

与党も経営批判

 同社の経費削減計画をめぐっては十五日にドイツ全国で約六万人が参加して二時間の時限ストが行われています。これまで事態を静観していたシュレーダー政権与党の社会民主党のミュンテフェーリング党首も同日、経営者側の交渉姿勢を批判しました。

 同社事業所評議会(労働者代表で構成)によると、ジンデルフィンゲン工場では同日午前、約一万二千人の従業員が勤務を拒否。ウンターテュルクハイムの工場では約二千五百人が時間外勤務を拒みました。

 経営者側は、バーデンビュルテンベルク州の工場で三十年来実施されている勤務時間一時間ごとに五分間あった休憩時間を廃止、諸手当を削減するなど、約五億ユーロの経費削減を見込んでいます。現在では休憩時間は個別には取らず、まとめて年次休暇として運用されています。

「解雇」の威嚇に

 経営者側は経費削減が実現できない場合は、新型車製造を国内ブレーメンと南アフリカ共和国イーストロンドンの工場に移し、ジンデルフィンゲン工場の三万人の労働者のうち六千人を解雇すると威嚇しています。

 労働時間延長をめぐる経営者側の攻勢は、電機機械大手のシーメンス社の携帯電話二工場で雇用確保のため金属産業労組(IGメタル)が週三十五時間労働から賃上げなしの週四十時間労働へ時間延長を受け入れたことで活発化しています。

 ドイツ政府は、企業の国際競争力向上などを理由とした労働時間の弾力運営を容認する姿勢を取っていますが、シュレーダー首相は一律の労働時間延長には否定的な見解を表明。同首相は十六日のテレビ・インタビューでダイムラー社労使双方に自制を促し、事態の収拾を求めました。

 またミュンテフェーリング社民党党首は同日付ベルリナー・ツアイトゥング紙でのインタビューで、「ドイツの未来は低賃金にはない」「企業は富をともにつくってきた労働者に対する責任がある」と述べ、経営者側の交渉姿勢を批判しました。夏目雅至記者


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