2004年7月14日(水)「しんぶん赤旗」
全日空子会社のOAS(大阪空港事業)の労組と全日空の孫請け会社にあたる関西航業の労組(OAS労組関西航業分会)が、全日空・OASを相手に不当解雇など不当労働行為をめぐって争っていた「関西航業争議」は七年ぶりに和解が成立し、十三日、労組が発表しました。十五、十六日には東京と大阪で勝利和解報告集会を開きます。
OASとOAS労組、OAS労組関西航業分会は七日、和解の調印をしました。
和解内容は(1)OASはOAS労組を通じて関西航業分会に解決金を支払う(2)OAS労組は東京地裁で係争中の訴訟を取り下げる(3)OAS、全日空、OAS労組と関西航業争議団との間の一切の紛争が解決したこと、関係者間において和解内容以外の債権・債務等が存在しないことを確認する――としています。伊丹空港での三十一人の職場復帰は実現しませんでした。
九七年五月、OASは全日空の意を受けて自社の労組の弱体化と子会社である関西航業の労組分会の消滅をねらって、関西航業への業務の委託契約を解除し、事業閉鎖に追い込みました。会社側は労働者には退職金も支払わず一方的に解雇しました。
もともとOASは労組の活動を阻むためにIAU(国際航空事業)から分離して作られた会社でした。OASに労組ができると臨時社員を導入して下請け会社を設立。下請け会社に労組ができると契約解除で会社も労組もつぶすという組合敵視政策が繰り返されてきました。
関西航業の労働者らは九七年以降、全日空とOASを相手に、不当労働行為の救済としてOASに雇用責任を果たすことを求めて、裁判所と労働委員会に訴えてきました。しかし、これまでの司法、行政の判断では、「使用者としての立場にないから雇用責任を争うまでには至らない」との理由で訴えを棄却しています。
関西航業争議団の赤田克彦団長は「裁判所や労働委員会が政府のリストラ策に加担し、事案の真相を正面からとらえず、労使紛争の早期解決、労働者救済の視点がない。それが長期争議の原因になっています。しかし、勝利和解にこぎつけたのは私たちの団結と支援のおかげです」と語っています。
関西航業争議を支援してきた航空労組連絡会は「争議団は直接の親会社だけでなく、その親会社を事実上支配している全日空の責任を司法や行政の場で訴えてきたのが特徴です。規制緩和を口実にした経営者の横暴を許さず、リストラに苦しむ労働者の生活と権利、空の安全を守るたたかいとして支援してきました。極めて大きな困難の中で和解を成立させたことは画期的な勝利です」とのコメントを発表しました。