日本共産党

2004年7月9日(金)「しんぶん赤旗」

ドイツの青年雇用対策

希望者全員にチャンスを

懇切ていねい、個人指導も


 ドイツ政府の青年雇用政策が成果をあげています。政府とドイツ商工会議所(DIHK)などが6月に合意した協定で職業訓練職をベルリンだけで来年550人分増やすことが決まりました。青年雇用政策「JUMP・PLUS」(ジャンプ・プラス)も懇切ていねいな個人指導をしています。

 (ベルリン=片岡正明 写真も)


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ミッテ地区連邦職業案内所で出している青年雇用計画などのパンフレット

 六月に合意されたのは、「すべての職を希望する青年にチャンスを与える」ため、毎年三万人分の職業訓練職を創出する協定。同協定は、二〇〇五年から二〇〇七年までの三年間、希望するすべての青年に職業案内所が最低一回、職業訓練職をあっせんすることが柱です。政府が企業に補助金を出すことで職業訓練職二万五千人分を増やし、政府公務員の職業訓練職も20%増やします。

前倒しで実施も

 一日付のベルリナー・ツァイトゥング紙によると、ベルリン商工会議所はこの合意に沿って、来年からベルリンだけで今年の一万一千八百人分より五百五十人分多い職業訓練職を準備すると発表しました。同会議所のヤン・エーダー事務局長は、今年すでに五十人分は前倒しで実施し、それでもなお職業訓練職を見つけられない若者のため、さらに今年秋以降、追加の職業訓練職を用意すると表明しました。

 一方、青年が職業訓練職に就くための準備をする制度としてことし末まで実施されている青年緊急雇用計画「JUMP・PLUS」ではベルリンのミッテ地区連邦職業案内所管内だけで、現在六百五十人が対象となっています。

5つの柱で実施

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シュタースさん

 ミッテ地区連邦職業案内所でこの計画を担当するシュタースさんは「この青年緊急雇用計画は青年一人ひとりに就職できるまでの個人計画をつくることから始めます」と語ります。対象は十五歳から二十五歳までの失業青年です。市の行政と協力して青年の相談に乗り、義務教育課程を修了していない青年への援助、一カ月の研修、職業についての社会的教育など五つの柱で実施。個人計画をこの柱にそって細かく策定します。

 失業青年の多くが義務教育課程を修了していないため、学校卒業資格の取得は大事な項目です。ベルリンでは失業青年の三分の一が外国人で、ドイツ語教育など外国人への援助も計画に組み込まれています。

 シュタースさんは「職業訓練職を提供する企業を募り、そのほとんどの企業に青年緊急雇用政策での仕事研修も引き受けてもらっています。研修は一カ月ですが、いろいろな職業を複数試してみることができます」と語りました。


 ドイツの職業訓練職 企業が青年と職業訓練契約を結んで訓練生を受け入れ、一定の報酬を支払うドイツ特有の制度。職業訓練生は企業の現場と職業訓練施設で約三年間、技術を身につけた後、正規に就職します。就職先は訓練受け入れ企業に拘束されません。欧州諸国の中でドイツの青年失業率が低い要因の一つでしたが、近年の不況のなかで大企業が契約を控える傾向が出ていました。

職業訓練職 契約3.5%増

 ドイツ商工会議所(DIHK)は五日、ことし上半期で青年の職業訓練職契約が全国で昨年同期比3・5%増加していることを明らかにしました。

 同会議所のルードウィッヒ・ブラウン会頭は、「(六月に政府と締結した)全国訓練計画が予想通りの成果をあげているといえる」と語るとともに、会員企業に対し、さらに訓練職を増やすために努力するよう訴えました。

 DIHKによると、全国八十一の商工会議所のうち六十二会議所で昨年より訓練職契約が増加しましたが、十六会議所では減少しました。旧西独部では3・9%増だったのに対し、旧東独部では1・6%増と地域差があります。



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