2004年7月7日(水)「しんぶん赤旗」
政府は六日、年金、医療、介護など社会保障全般の負担の在り方を検討する「社会保障の在り方に関する懇談会」のメンバーを発表しました。
日本経団連の西室泰三副会長(東芝取締役会長)、連合の笹森清会長のほか、政府側から細田博之官房長官、坂口力厚生労働相らが参加します。七月中にも初会合を開く予定。
同懇談会は、今後の社会保障全体の給付に必要な社会保険料と税の負担割合、具体的には消費税増税や年金「一元化」について議論します。当面、年末までに論点整理を行う方針。
メンバーは次の通り。(有識者として、若干名追加の見込み)
石弘光・政府税制調査会長▽笹森清・連合会長▽潮谷義子熊本県知事▽西室泰三・日本経団連副会長▽宮島洋・社会保障審議会年金部会長▽細田博之官房長官▽竹中平蔵経済財政・金融担当相▽麻生太郎総務相▽谷垣禎一財務相▽坂口力厚生労働相▽中川昭一経済産業相
社会保障懇談会は、年金改悪法案の衆院通過前の五月六日に、自民、公明両党と民主党が結んだ「三党合意」をふまえ、日本経団連、連合からの要請を受けて設置されるものです。
「三党合意」にもとづき年金改悪法には、「社会保障制度全般について、税、保険料等の負担と給付の在り方を含め、一体的な見直しを行」うことや、「公的年金制度の一元化を展望し、体系の在り方について検討を行う」ことが「改正」として盛り込まれています。ここにある「一体的見直し」とは、消費税増税による社会保障財源の確保をさし、与党税制改正大綱では、二〇〇七年度をめどにした実施が明記されています。この見直しのなかで、年金「一元化」に必要な消費税増税が検討されることになっています。
民主党は、「三党合意」によって法案の衆院通過を認め、衆院本会議での年金改悪法案採決にあたり、この「修正」案に賛成しました。
参院選の論戦では、自民、公明両党が民主党に「三党合意」にもとづく協議を再三よびかけています。民主党の岡田克也代表は、消費税増税や年金「一元化」の方向性をはっきりさせることが、協議の「条件」だと消費税増税を迫っています。自公は「(税率引き上げが)3%で済むとは思っていない」(小泉純一郎首相)、「社会保障全般からみると消費税という財源を考えなければいけない」(公明・冬柴鉄三幹事長)とのべ、消費税増税ではまったく同じ立場に立っています。
今回の懇談会設置は、参院選後ただちに、年金を含めた社会保障「改革」を口実に消費税増税論議をスタートさせる足場をつくるものです。
メンバーは日本経団連の西室泰三副会長や政府税調の石弘光会長ら。石氏は消費税増税論の中心人物であり、西室氏は「ヨーロッパに比べれば日本の(企業の)ほうが社会保障に拠出している費用は少ない」(『経済Trend』二〇〇四年五月号)と認めながら、「消費税を社会保障中心に使っていくことについて民意を問うべきだ」(同前)と表明しています。
参院選が終われば、自民、公明、民主も加えて、消費税増税の“世論づくり”が始まることは、間違いありません。
山岸嘉昭記者