2004年7月6日(火)「しんぶん赤旗」
深刻な青年雇用問題の解決が参院選で大きな争点になっています。
東京・渋谷の繁華街にある「ヤングハローワーク しぶや・しごと館」。求職相談の順番を待っていた男性(28)は、大学卒業後一年以上フリーターをしています。いまは中野区で一人暮らし。家賃二万円、肉体労働で稼いだアルバイト代は月に七、八万円がやっと。すいとんを作って食いつないでいるといいます。
「五十社以上を受けましたがアルバイトとしてさえも雇ってもらえない。文学部出身なので本にかかわる仕事がしたいと思い、書店などを希望しましたが…。安定した収入がほしい。何でもいいから働きたい。ふろ付きの家に住むのが夢です」
ヤングハローワーク統括職業指導官の永野靖さん(41)は、「求人数は増えているものの、とくに派遣や請負の求人の伸び率が高い。利用者のほとんどは『自身で生計を立てたい』と正社員を希望しています。二〇〇三年度の登録者のうち、就職が決まったのは約14%ですから、ほかの世代と比べると低いでしょう。六割が正社員未経験者なのに、『経験者希望』と書いてくる企業が多いので、求人票の段階でふるいにかけられてしまうのです」と説明します。
青年の願いに反して、増え続ける不安定雇用――。なかでも、派遣労働者が急増しています。厚生労働省の調査では、〇二年度の派遣労働者数は約二百十三万人に達し、六年間で三倍近くに膨れ上がりました。
一方、減り続ける正社員たちの状況もまた過酷です。
働く青年のグループ「リーマンズネット」は、青年労働者を対象に「あなたの残業アンケート」と題したシール投票にとりくんできました。ボードに張られたシールのうち、過労死の危険があるとされる六十時間以上が三分の一を超え、その六割以上が、残業代が全く出ていないか、ほとんど出ていないというのです。
マスコミに勤める若い女性は、月の残業時間が二百時間、家にも帰れないとこぼしていきました。夕食ついでに街に出てシール投票に出合い、また会社に戻っていく青年もいます。
大野ひろみ記者