2004年7月6日(火)「しんぶん赤旗」
|
日本共産党の志位和夫委員長は五日、遊説のため訪れた大阪市内で記者会見し、「選挙戦終盤になって、消費税の増税問題が大争点の一つとして浮上してきた」とのべ、三つの点で増税に道理はないことを解明、「増税反対の一票は日本共産党へと大いに訴えたい」と強調しました。
志位氏は、「年金目的」としての消費税3%増税を民主党が主導してきたことを指摘したうえで、小泉純一郎首相が「消費税を上げる方向だ」と明言し、増税の時期と上げ幅について「与野党で早く協議を始めたほうがよい」とのべたことを指摘。加えて、昨日のテレビ討論会で自民党の安倍晋三幹事長が「二〇〇七年度以降は必要であれば上げざるをえない」と発言し、公明党の冬柴鉄三幹事長も「再来年までに介護保険と高齢者医療の見直しが計画されており、この時期までには消費税という財源を考えなくてはならない」とのべたことをあげ、「消費税増税のシナリオがはっきりみえてきた」と強調しました。
民主党は二〇〇七年度からの増税を明言。与党は昨年十二月の「税制改正大綱」で「二〇〇七年度をめどに消費税を含む抜本的税制改正を実現する」と確認し、政府の「骨太方針二〇〇四」で「二〇〇六年までに結論を得る」としています。
志位氏は「選挙が終われば、二〇〇七年度から消費税を上げるという方向で来年、再来年と『協議』し、『結論』を得て実施するのが与党のプランだ。それが選挙戦終盤で首相の口からも、与党幹事長の口からも出てきた」と指摘。「そのやり方も与党と民主党の『談合』で消費税増税の道筋をつけようというものだ。これは“先の話”ではなく、選挙が終われば『協議』するという切迫した事態に立ち至っている」とのべました。
そして、「この問題は大事な争点だ。参院選で自民、公明、民主に一票を投じるならば、消費税増税の『白紙委任状』を与えることになるという重大な問題だと位置づけ、反対の論陣をはっていきたい」と強調しました。
さらに志位氏は「増税派の一番の言い分は『福祉のために仕方がない』ということにあるが、三つの点からまったく道理がないということを大いに国民に訴えたい」とのべました。
第一に、消費税は最悪の福祉破壊税だという点です。志位氏は「福祉はそもそも立場の弱い方々の命と暮らしを支えるための制度で、消費税はその立場の弱い方々に一番つらく重くのしかかる税金だ。『福祉のため』と称して増税するほど本末転倒の話はない」と批判しました。
第二に、消費税増税は大企業の負担軽減が一番の目的だという点です。志位氏は、日本経団連の「奥田ビジョン」がこれからは「企業の社会保険料負担」をなくすとしていること、経済同友会が法人税をさらに5%引き下げることとセットで消費税増税を打ち出していることを紹介。「消費税値上げの真の狙いは『福祉をよくする』ことにあるのではなく、大企業減税の穴埋めの財源作りにある。これ以上の『財界主役』の悪い現れはない」とのべました。
第三は、消費税に頼らなくても安心できる社会保障は築けるという点です。志位氏は「税金の使い方、集め方を『国民第一』に土台から改革すれば、消費税に頼らなくても安心できる年金、医療、介護の制度をつくるだけの経済の力はある。この土台のゆがみにメスを入れないから増税という話になる。メスを入れるべきところに入れないで、国民に増税を押し付ける理不尽さをきびしく追及していきたい」と強調しました。