2004年7月3日(土)「しんぶん赤旗」
朝日火災海上保険(大家一穂社長、本社・東京都千代田区)による労働組合活動家にたいする賃金昇格差別の是正を求めて労働者がたたかってきた争議で、最高裁判所(第三小法廷、上田豊三裁判長)は六月二十九日、会社の上告を棄却、不当差別の是正を命じた東京高裁判決が確定しました。
差別の是正をもとめていたのは、朝日火災の十九人の労働者。同社は一九七八年以降、親会社である野村証券から送り込まれた社長のもと、賃上げ抑制、退職金引き下げなどの労働条件の引き下げと人減らしを強行。全損保(全日本損害保険労働組合)朝日支部の運営に介入し、会社のいいなりにならない労働者に不当配転や賃金・昇格差別を繰り返してきました。
今回の上告棄却で確定した二〇〇三年九月の東京高裁判決の内容は、会社による労働組合活動への支配介入、昇給昇格差別などの不当労働行為を認定し、(1)組合役員選挙への支配介入の禁止(2)時間内組合活動休暇の差別取り扱い禁止、賃金カットの返還(3)不当配転無効、原職場復帰(4)賃金・賞与・職能資格・役職を同年同期入社労働者並みに是正すること(課長格まで)(5)謝罪文を店頭に表示する―を命じたものです。
提訴団の大田決代表は、「会社は、二十五年間十度も断罪されながら、違法行為をつづけ、緊急命令不履行で百万円の罰金を科されました。法令順守を厳しく要求される保険会社としてあるまじきことです。長期争議を全面的に解決する決断をして、われわれとの話し合いに応じるよう強く求めます」と話しています。