2004年6月30日(水)「しんぶん赤旗」
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「女性であるため昇格や賃金などで差別をうけた」として、住友化学工業の女性社員ら三人が同社を相手取り、差額賃金や慰謝料など総額一億六千万円の支払いを求めた訴訟は二十九日、会社側が一人当たり五百万円、計千五百万円の解決金を支払う条件で大阪高裁(市川頼明裁判長)で和解が成立しました。原告の女性たちは、「差別是正へ一歩前進させることができた」と喜びを語りました。
訴えていたのは、愛媛工場勤務で昨年退職した有森洋子さん(61)、大阪本社勤務の石田絹子さん(59)、矢谷康子さん(54)。同社では同期入社の男性はほとんどが勤続二十年をすぎると管理職に昇格していますが、教育訓練の機会も与えられず、専門職への転換を希望しても「実績がない」などとして推薦されないなどでいつまでたってもヒラのまま。石田さんの場合、賃金格差は月額二十二万円にもなっていました。
石田さんらは一九九四年に大阪婦人少年室(当時)に男女雇用機会均等法にもとづく調停を申請しましたが会社が調停を拒否。大阪地裁は二〇〇一年三月、格差を認めながら「採用区分の違いによるもので、当時の社会意識のもとでは公序良俗に反しない」「転換制度があるから転換の機会はあった」などとして請求を退けたため、控訴していました。
原告の女性たちと弁護団は、「転換制度があっても運用上で差別があったと認めたといえる」「勝訴と同じ価値がある」と評価。和解で得た成果を男女差別是正の前進に生かせるよう力をつくしたいとしています。
住友グループの女性差別訴訟では、住友電工が昨年十二月、解決金支払いと昇格を認める条件で大阪高裁で和解。住友金属は大阪地裁で係争中です。