2004年6月30日(水)「しんぶん赤旗」
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小泉自・公政権は参院選の論戦で、「経済に明るい兆しが出てきた」(小泉首相の第一声)と盛んに宣伝しています。しかし、政府部内では“企業の利益が増えても、それは雇用の回復をもたらしていない”と指摘されていることが、二十九日に発表した経済産業省の二〇〇四年版「通商白書」で明らかになりました。
「白書」は、一九九〇年から〇二年までの雇用者報酬(雇用者の所得)と営業余剰(企業の利潤)の変化率の動向を分析。九〇年代には企業の利潤と雇用者の所得は連動していたが、雇用面では九〇年代以降、景気が回復しても雇用は拡大しなくなっていると指摘。
所得についても白書は、小泉内閣発足(〇一年四月)後の〇二年一月以降、「営業余剰が改善されても雇用者報酬は伸びない傾向にある」とし、企業が利益を拡大しても「労働コストの上昇を抑制」しているからだとしています。特に製造業では雇用悪化の要因に「リストラの進展」をあげています。
小泉首相は「改革の芽を大きな木に」と訴えますが、大企業のリストラ応援、年金改悪など国民負担強化の「構造改革」では、「回復」するのは大企業収益だけ。国民は一方的に犠牲を負わされていることが、政府文書で示された格好です。