日本共産党

2004年6月28日(月)「しんぶん赤旗」

ゆうPress

大学生3人が語り合った (下)

人との壁を壊すカギ


相手との共通の部分 固めていく 西原

意見が違う人の思いも よく聞く 加門

「自分の成長」を意識化できるか 長谷川

 「敬語が使えない」「芸術を熱く語り合わない」――。

 先週は、大学で学生同士があまり討論しなくなった現状を、三人の学生が語り合いました。引き続き今週は、豊かなコミュニケーションのカギは何か、などについて話し合います。聞き手・坂井希記者

 ――壁を壊すのはエネルギーがいるけれど、コミュニケーションはやっぱり楽しい?

 加門 自分でとことん考えるのも大事だけど、自分の殻に閉じこもったままでは何も出てこない。悩みも、人としゃべってこそ解決すると思うんです。悩みをそのまま誰かにぶつけなくても、いろんな話をするうちに自然に解決したり。

 西原 人と話すときって自分とも話をしてるんですよね。頭の中で考えているのと、言葉に出していってみるのとでは全然違う。人と話して「自分はこんなことを考えていたんだ」ってびっくりすることがある。

●強行突破せずに

 ――「この人とはわかりあえない」と展望をなくしちゃうことはない?

 西原 私は強行突破はしないです。「人殺してもいいじゃん」という人に「殺しちゃダメ」といってもかみあわない。いくらやりあっても平行線です。でも、例えばその人が私と同じCDが好きだとわかったら、「これ好きなの? じゃ、一緒に聴こうよ」と誘ってみる。そうやって共通の部分を固めていく。理解できないからあの人は嫌い、じゃなくて、話してみたら表現が違うだけで考えの根っこは同じかもしれない。

 長谷川 その指摘は大事だと思う。いろんな考えの人と一緒に何かをつくっていくことって大事じゃないかな。考えが「右」だろうが「左」だろうが、「平和」で一致できたらそこからつくっていけるものがある。「何でわかってくれないの」じゃなくて「どうしたらわかってもらえるか」を考える。そうでなければコミュニケーションは発展しないと思います。

 加門 意見が違う人とも仲良くなることですよね。自分のいいたいことをどうわかってもらうかも大事だけど、相手の思いをよく聞くことも必要だと思います。

●大学は成長の場

 ――大学は豊かなコミュニケーションを通じて成長できる場になっていると思いますか?

 長谷川 一回生のうちから就職などに追われて余裕がなく、難しくなってきているとは思う。でも、高校までと比べれば自立や自活が求められるのでチャンスも大きい。僕は、コミュニケーションのカギは「自分の成長」をどれだけ意識化できるかだと思うんです。

 一人で本を読んでいるだけでは限界があって、いろんな人の価値観をぶつけあわせてみたら、自分にはここが足りないとか、こういう良さがあるとか、自分が見えてくる。コミュニケーションが成長の前提だと思う。「成長したい」という思いがあるからこそ、殻を破ることができるんじゃないか。そういう意識を持てば、大学は豊かに過ごせるところだと思います。

 西原 昔は学生に共通の話題がもっと明確な形であったんじゃないでしょうか。本も「大学生が読む本」みたいなのがあって、それをめぐって議論を交わすとか。今は趣味でも何でも細分化していて、みんなで話すのが難しくなっていると思うんです。大学に限らず、社会全体がそうかもしれない。でも、普遍的な、変わらないものってやっぱりあると思う。自分がどう生きていくかとか、どう成長していくかとか。就職や単位に追われがちだけど、大学生の時期は、そういうことをもっと考えていいと思う。

●「世代」感覚ない

 長谷川 僕らには「世代」感覚というものがない。世代って言葉をそもそも使わない。一人ひとりが多様化している。でも、それは自分なりの意見や考え方を一人ひとりが持ちつつあるということじゃないか。平和の運動が若者の中でひろがっているけど、昔に比べたら参加人数は少ないかもしれない。でも、今の若者は何かの主義主張に影響されてではなく、それぞれが模索した結果として運動に参加している。多様化しているからコミュニケーションは難しいけど、希望や可能性もあると思うんですよ。

 加門 私も、大学を自分が成長できる場にしようという姿勢を持つことが大事だと思う。今どんなことを感じながら作品を作っているのかなど、大学生ならではの話をもっといろんな人としていきたいと思います。

 (おわり)


お悩みHunter

第41代日本ウエルター級チャンピオン 小林 秀一さん
 東京工業大学卒。家業の豆腐屋を継ぎながらボクシングでプロデビュー。99年新人王。03年第41代日本ウエルター級チャンピオン。

自宅にいると窮屈…一人暮らしをしたい

 私は自宅から通学していますが、最近家に帰りたくありません。外泊すると母親にしつこく追及されるなど、家にいると窮屈なのです。うちは貧乏で、バイトをする余裕もないため一人暮らしは難しいです。大学を卒業してから、法科大学院に進みたいのですが…。(24歳、学生。東京都)

「何をしたいのか」を大切に

 まずは自分の意見を親に伝え、よく話し合うのがはじめの一歩です。少なくともお互いに意思疎通がはかれれば居心地の悪さは解決できるかもしれません。そしてもし家にいられるのであれば、大学卒業後に一、二年間バイトをして学費をためるか奨学金をもらって大学院に進めばいいのではないでしょうか。

 しかしどうしても居心地の悪さが解決できないのであれば、一人暮らしができるように努力する必要があります。

 自分の体は一つしかありませんし、時間は一日に二十四時間しかありません。ですから勉強やバイトなど一度にたくさんのことができなければ、自分のやりたいことに優先順位をつけて一つ一つ進めていきましょう。

 まずはきちんと大学を卒業することが第一だと思いますので、卒業するまでは一人暮らしをあきらめて家にいるべきです。そして卒業したらバイトをして一人暮らしを始めてはどうでしょうか。先の展望があればしばらくは我慢できると思います。そして一、二年くらい一人暮らしをしながら学費と生活費を貯金して奨学金をもらえれば、大学院に進んでも一人暮らしは可能でしょう。実際にこういう生活をしている人はたくさんいます。

 大事なことは、自分がどうしたいのか、どうなりたいのかをよく考えてみることだと思います。それがわかれば遠回りで大変なことでもがんばれるのではないでしょうか。


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