2004年6月26日(土)「しんぶん赤旗」
一九八七年四月にJRを不採用になった国労や全動労(現・建交労鉄道本部)など千四十七人の採用差別事件で、ILO(国際労働機関)結社の自由委員会は十八日、日本政府に対し、昨年六月に続く六度目となる勧告・報告を出しました。
昨年十二月の最高裁判決について、争点の不当労働行為をめぐって裁判官の見解が三対二と分かれ、明らかな見解の相違があり、多数の決定がJRの使用者としてのいかなる責任も免除していると指摘。そのうえで、最高裁が「国鉄が採用候補者名簿の作成にあたり不当労働行為を行った場合には、国鉄、もしくは国鉄の法的地位を引き継いだ清算事業団(現在の鉄道建設・運輸施設整備支援機構)は使用者責任を免れえない」と判断したことに留意し、日本政府に対し、かつて優先させていた政治的・人道的配慮の精神ですべての関係者との話し合いを追求するよう要請しています。
全労連国鉄闘争本部(熊谷金道本部長)と建交労(全日本建設交運一般労働組合、坂田晋作委員長)は二十三日、政府がILO勧告に基づき、責任をもって解決をはかるよう求める連名の声明を発表しました。
声明は、勧告が「申し立ての重大性ならびに多数の労働者に引き起こした深刻な社会的・経済的影響を考慮して」とし、昨年六月の勧告と同様に解決が緊急性をもっていると強調していることを紹介。政府と鉄道建設・運輸施設整備支援機構が自らの責任で早期に解決をはかることを求めたものだとのべています。
政府が「最高裁判決を見守る」という第三者的な立場がとれなくなり、六度の勧告に貫かれているのが「当該労働者が公正に補償」されることだと指摘。政府が「政治的・人道的な精神」に基づいて早期解決をはかることは当然であり、勧告を真摯(しんし)に受けとめ、関係当事者間の話し合いを直ちに開始するよう要求しています。
国労(国鉄労働組合)と国鉄闘争支援中央共闘会議は十八日、声明を発表しました。
このなかで、JR不採用事件が未解決のまま十七年の歳月が流れ、解決の日を迎えることなく死亡した闘争団員はすでに二十六人を数え、いまなお経済的・肉体的・精神的苦痛にあえぎ、まさに憂慮すべき事態で、これ以上このような苦痛が放置されることがあってはならないと強調。国労はこうした現状を直視しつつ、政府をはじめすべての関係当事者が勧告を真摯に受けとめ、関係当事者間の話し合いを直ちに開始し、早期に解決がはかられることを強く望むとのべています。
また、酒田充委員長ら国労本部三役は二十一日、厚生労働・国土交通両省に要請しました。