2004年6月25日(金)「しんぶん赤旗」
【ワシントン=遠藤誠二】サンフランシスコの米連邦地裁は二十二日、世界最大の小売業、ウォルマートに女性労働者が賃金や昇進で男性労働者に比べて差別的な待遇を受けたとして損害賠償を求めている裁判で、集団訴訟として扱う決定を行いました。すでに退職した労働者を含め百六十万人規模の訴訟となり、民間企業を相手どった裁判として史上最大規模のものになります。
ウォルマートの男女賃金差別をめぐっては、二〇〇一年六月に六人の女性労働者が訴訟をおこしていました。サンフランシスコ地裁のジェンキンス判事は二十二日、賃金や昇進で男女差別の証拠がみられるとして、一九九八年十二月から全国三千以上の店舗で働いていた女性労働者も同様の訴訟の対象となると判断しました。
ウォルマートは、米南部アーカンソー州に本社を置き、昨年の売上高は二千五百六十億ドル(約二十八兆円)、利益額が九十億ドル(九千九百億円)、従業員数は百二十万人(米国内)、全米最大で世界最大の小売業です。
低コストを徹底し、賃金が低いことで知られています。男女差別とともに、不法滞在移民・未成年者を就労させたり、タイムカードの不正で残業手当を支払わなかったりするなど数々の疑惑がもたれています。労働組合の結成も認めていません。
会社を訴えたある女性は、同様の仕事についていた男性は時給九ドルだったのに対し、働き始めてから九年間、時給八ドル四十四kの賃金が続いたと指摘しています。
全米の女性労働組合員で構成する「労働組合女性連合(CLUW)」のキャロル・ローゼンバーグ執行委員長は、「地裁の判断はウォルマートで働く多くの女性にとっての勝利といえる。世界最大の小売業での女性差別問題をめぐる訴訟が与える影響は大きい」と話しています。