2004年6月23日(水)「しんぶん赤旗」
リコール隠し・欠陥隠しが次々と明るみにでて社会的信用を失った三菱自動車は十六日、賃金5%カットや年末一時金の見送り、愛知県岡崎工場を二〇〇五年度中にも閉鎖すると発表しました。五月に発表した閉鎖計画を一年前倒しした内容です。日本共産党三菱名古屋自動車製作所支部は、「三菱自動車・グループは社会的責任を果たせ」「労働者、下請け企業に犠牲を転嫁するな」とたたかいを広げています。原田浩一朗記者
三菱自動車が岡崎工場の前倒し閉鎖を発表した翌十七日夕、門前で退勤する労働者に声をかけました。ほとんどの人が取材に応じてくれます。
あと数年で定年という男性は「定年まで頑張るしかない。単身赴任でもなんでもいくしかないと覚悟しています」と言葉少なに答えました。
「生産ラインには顔を出せません。『おまえら何やってんだ』と石でも投げられそう」と苦しげに語るのは、開発部門で働く男性(51)。「人の命が奪われているんですから、“本当に申し訳ありませんでした”と心からおわびすることでしか再出発はできないと思います。誠実に車づくりをしていく、それを社会に認めていただくしかない」
高校卒業後から組立工として働いてきた青年労働者(27)は、半ばやけ気味に話しました。「こんな会社にずっといるつもりはありません。いいところがあればいつでも辞めますよ」
岡崎工場の生産ラインは、約千八百人が働いています。なかには二〇〇一年に閉鎖された大江工場(名古屋市)から異動してきた労働者も多数います。この労働者を、今度は岡山県水島工場や岐阜県坂祝(さかほぎ)町の工場で働かせるというのが、三菱のリストラ計画です。住宅ローンを抱え、異動できない労働者も少なくありません。
三菱自動車労働組合は、労働者に犠牲を強いるリストラ計画を受け入れる一方で、自動車総連出身の民主党比例候補の紹介カードを配布していますが、選挙資料もカードも積んだままの職場が目立っています。
今回のリストラで、退職せざるをえない労働者は「自己都合退職」扱いにされ、勤続十五年の場合、退職金は約四割ダウンします。雇用保険の失業給付も、「会社都合退職」なら最長で十一カ月支給されるものが「自己都合退職」にされると五カ月しかありません。労働者からは「トヨタなど近隣の会社への再就職あっせんをしてほしい」「せめて会社都合の退職扱いにしてほしい」との声が上がっています。
党職場支部は「なんの責任もない仲間たちが悩み、苦しみ、新たな犠牲を強いられることは断じて許せない」「今回の事態は“社会のルールより会社のもうけ第一”という歴代経営者の姿勢が招いたもの」「チェック機能を果たしてこなかった労働組合のあり方も問われる」と討論。「ルールある経済社会をつくれ」と主張する日本共産党を躍進させ、大企業に社会的責任を果たさせようと話し合いました。
党支部はいま、県内の社宅や寮などで、労働者や家族と対話を広げています。手紙も含め、百人近くから要求が寄せられました。職場新聞「前照灯(ぜんしょうとう)」を発行し、門前や社宅配布などで計千七百枚を労働者に届けてきました。
日本共産党国会議員団は五月、三菱自動車リストラ計画対策チーム(責任者・佐々木憲昭衆院議員)を設置。党愛知県委員会もチームを設置し、自治体や商工会議所、下請け企業への聞き取り調査を実施しています。
対策チーム事務局長の八田ひろ子参院議員は、岡崎市内で繰り返し宣伝に立ち、「会社に都合の悪いことは隠すという体質を改めさせ、社会的責任を果たさせることが必要です。不祥事で招いた経営の失敗を、首切りや下請け企業に転嫁し、労働者ごと乗用車部門を切り捨てる身勝手は許せません」と訴えています。
☆一部の上層部の責任だ。私は一回目は販売へ応援、二回目は岡崎。これで閉鎖はたまらん。
☆正社員の(再就職)口が見つかるよう、三菱からトヨタへ頭を下げて働きかけてほしい。
☆雇用の確保、生活保障、リコール隠しに至った経緯とその責任を明確にし、過去の責任をとってもらいたい。
☆冬のボーナスがなくなるということなので、せめて現時点でも早期退職(会社都合での)という形にしてもらいたい。