2004年6月19日(土)「しんぶん赤旗」
【ベルリン=片岡正明】欧州でも青年の失業増加が社会問題となっている中、ドイツでは政府と商工会議所(DIHK)などの経済団体が「就職を希望するすべての青年に機会を与える」ため、毎年三万人分の職業訓練職を創出する協定を結んで、雇用拡大に努力することになりました。
職業訓練職は青年が企業で働き、給与を受け取りながら職業訓練を受けるドイツ独自の制度。十六日に調印された協定では、二〇〇五年から二〇〇七年までの三年間、希望するすべての青年に最低一回、職業訓練職をあっせんします。政府が企業に補助金を出して新たに二万五千人分を増やすとともに、政府自身も官庁・公共企業でいまより20%増員します。
ドイツの職業訓練制度は青年の雇用を支えてきましたが、企業側の受け入れが経済不況のなかで年々減少。労働組合などは、企業に職業訓練生受け入れを義務づける法律制定を強く求めていました。
シュレーダー政権は、受け入れに消極的な企業に負担金を課す法案を国会に提出し先月連邦議会を通過したものの、保守野党が多数を占める連邦参議院で今月十一日に否決され両院協議に持ち込まれていました。今回の協定では職業訓練職を増やす一方で、同法案の審議を来年五月まで凍結することになっていますが、法制化の動きが協定を引き出す大きな力になりました。