2004年6月17日(木)「しんぶん赤旗」
百五十日間におよんだ第百五十九国会。年金改悪など悪法めじろ押しの国会を振り返ってみると――
悪法の中身とともに際立ったのがやり方です。 イラク派兵承認案は一月三十日、派兵の根拠がことごとく崩れるなか衆院イラク特別委員会で質疑を打ちきり強行採決。衆院本会議でも野党が抗議で欠席するなか与党だけで強行可決しました。
年金大改悪法案は衆参ともに厚生労働委員会で与党が質疑を打ちきり強行採決。参院では総理への質問を打ち切り強行するという前代未聞の横暴をやってのけました。
「百年安心」の看板のウソなど議論すればするほどボロが出ることを恐れた暴挙でした。
信金信組などに公的資金を投入し統廃合をすすめる金融二法は、会期末まで二日残す十四日、参院財金委員会での採決を省略して本会議で採決を与党が強行しました。
悪法を押しつけるためにウソまでついて押し通す姿勢も際立ちました。
イラク派兵の根拠とされた先遣隊の調査報告。サマワ市評議会があるのかないのか、会ったのは議長か議長代理か評議会代表なのか二転三転、答弁不能に陥りました。
それもそのはず日本共産党の赤嶺政賢議員の追及で「報告書」が派遣前に作成されていたことが明らかになりました。
閣僚十七人のうち七人に国民年金保険料未納が判明。公明党も「完済した」といっていた神崎武法代表ら十三人が未納でした。いずれも衆院での採決が終わるまで未納を隠していました。
学歴詐称問題も相次ぎました。民主党の古賀潤一郎衆院議員は米国大を卒業していないことが発覚しましたが議員は辞職せず。原田義昭文部科学副大臣も米国大学院を未卒業でしたが副大臣辞任だけで居座っています。
閣僚や与党議員から、適格性や資格が問われる暴言、放言が相次ぎました。
小泉首相―「イラクの事情をよく説明して、なかなか国際政治、複雑だという点を先生が生徒に教えるべきだ」(イラク派兵反対署名を届けた高校生にたいして)
小泉首相―「人生いろいろ。会社もいろいろ」(勤務実態が無いのに厚生年金に加入した問題)
自民党柏村武昭参院議員―「反政府、反日的分子のために血税を用いるのは強烈な違和感、不快感を持たざるを得ない」(イラクの日本人人質事件で)
井上喜一防災担当相―「元気な女性が多くなってきたということですかな、総じてどこの社会も」(長崎女児死亡事件)
こうした一連の暴言にマスコミも「小泉内閣『失言いろいろ』」「世論に鈍感」と指摘しています。
昨年の総選挙後、自民党の近藤浩、新井正則両前衆院議員が買収で逮捕。今年に入って民主党の佐藤観樹前衆院議員が秘書給与詐取で逮捕されました。
日本歯科医師連盟から自民党への献金疑惑では、日本共産党の佐々木憲昭衆院議員の追及で一億四千万円の虚偽記載の疑いが浮上し、石原伸晃国交相への迂回(うかい)献金疑惑も発覚。細田博之内閣官房長官の三千百万円の運転手給与肩代わりや、年金改悪法案の採決強行に手を貸した倉田寛之参院議長の十四億円の負債隠し疑惑が相次ぎました。
小泉首相は自民党議員の逮捕に「本人の自覚が足りなかったんじゃないか」と、人ごと。日歯連の献金疑惑にも「会員ではないから存じない」と無責任な答弁に終始しました。
日本共産党は、国民運動と結んで自民党政治に代わる対案を示してたたかいました。
七兆円もの国民負担増を押し付ける二〇〇四年度予算にたいし、浪費削減などで生み出した六兆五千億円の財源を社会保障などに重点配分し庶民増税を中止する組み替え案を提出しました。民主党は「対案を出したい」として予算組み替えを求めず、組み替え案を出したのは日本共産党だけでした。
日本共産党として、企業・団体献金禁止法案、乳幼児医療費無料化法案、パート労働者法案など二十本以上の法案・修正案を提出。野党共同で、DV法改正案(全会一致で成立)やBSE対策法改正案などを提出しました。