日本共産党

2004年6月16日(水)「しんぶん赤旗」

小泉内閣に対する不信任決議案

佐々木議員の賛成討論

衆院本会議


 十五日の衆院本会議で日本共産党の佐々木憲昭議員がおこなった、小泉内閣にたいする不信任決議案への賛成討論は次の通りです。

 私は、日本共産党を代表して、小泉内閣不信任決議案に賛成の討論を行います。

 小泉内閣を不信任する第一の理由は、何よりも年金の大改悪であります。そのやり方も内容も、断じて容認できません。

 自民・公明両党によって強行成立させられた年金関連法は、保険料の際限のない引き上げと、給付水準の引き下げを内容とする大改悪であります。

 しかも、「保険料の上限固定」と「給付の五割保障」という二枚看板がまったくウソだったことが、衆議院通過後に明らかとなりました。

 このような重大な法案を、衆議院でも参議院でも中央公聴会を開かず、質疑を突然打ち切って強行採決を行ったのであります。いまや、どの世論調査を見ても「法案の内容に反対」「強行採決に問題あり」という声が、七割から八割を超えております。もはや小泉内閣に、政権を担う資格はまったくありません。

 第二の理由は、小泉内閣の「構造改革」路線が、国民に耐えられない「激痛」を押し付け、国民生活のあらゆる分野で荒廃と破壊をまねいたことであります。

 小泉内閣は、不良債権の早期最終処理をかかげ、銀行の貸し渋り・貸しはがしを加速させ、倒産・失業を増大させてきました。また、大企業のリストラを放置し後押ししてきたのであります。

 そのうえ、小泉内閣の際限のない国民への負担の押しつけが、暮らしを破壊しています。高齢者医療費の引き上げ、サラリーマン健康保険三割負担の実施、介護保険料の値上げ、失業者の命を削る雇用保険制度の改悪、そして、今国会での年金大改悪であります。

 この行き詰まりから脱却する道は、小泉内閣の退陣によってのみ、切り開くことができるのであります。

 第三の理由は、小泉内閣が軍事・外交面で、アメリカいいなりの姿勢を続けていることであります。

 小泉首相が、大義なきイラク戦争を支持し、憲法違反の自衛隊海外派兵を強行してきた責任も重大です。アメリカの戦争と不当な占領支配のもとで、イラク民間人の死者はすでに一万人を超えました。米軍によるイラク人拷問・虐殺事件は、イスラム社会をはじめ全世界の憤激を呼び起こしています。

 ところが、小泉首相はイラクに派兵した自衛隊の多国籍軍への参加を日本の国会にも国民にもはからず、米ブッシュ大統領に約束したのであります。

 多国籍軍への自衛隊の参加は、米軍の指揮の下で、武力行使をともなう軍事行動と一体化した活動をすすめることです。それが憲法を真っ向から踏みにじるものであることは明白であります。

 小泉内閣が強行した有事関連法案も、アメリカの戦争に自衛隊と自治体、国民を総動員するものであり、わが国の進路と憲法の平和原則を根本からおびやかすものです。

 いまや小泉内閣に、日本の平和と進路、国民の暮らしと日本経済のかじ取りを担う資格がないことは、あまりにも明白であります。

 以上で、小泉内閣不信任決議案に賛成する討論を終わります。


小泉内閣不信任案

提案理由(全文)

 十五日の衆院本会議で日本共産党、民主党、社民党が共同で提出した小泉純一郎首相にたいする不信任案の提案理由(全文)は次の通りです。

 ◇

 小泉内閣が発足してから三年余、その内政、外交上の失政はいよいよ重大である。

 小泉内閣は過日、「国民年金法等の一部を改正する法律案」他二案、いわゆる「年金関連法案」を与党の数の力で強引に成立させた。これは、年金保険料を十四年連続で引き上げ、年金給付を大幅に引き下げようというものである。給付と負担のバランスをはかると言いながら、法案の中身は徹底して国民に負担増を強いるものであり、改革の名に値しない。だからこそ国民の多くが本法案に反対の声をあげていたのである。にもかかわらず、小泉内閣と与党=自民・公明=は、この国民の声を足げにしたのである。

 しかも、小泉内閣閣僚、副大臣などの国民年金未納・未加入が相次いで明らかになるなど、法案提出者である小泉内閣の無責任ぶりに国民の批判が一段ときびしくなるなかでの暴挙である。自民党は、所属国会議員の年金加入・納付状況を党としてはついに明らかにしなかった。その総裁である小泉総理に国民の立場にたったまともな年金改革など語れようはずがない。年金関連法の破たんを裏づけるがごとく、先日、合計特殊出生率一・二九という衝撃が走った。法案の前提を崩す数字である。加えて法案の成立を見てから明らかにするというやり方は、「保険料の上限固定」「現役世代の五割給付確保」という法案の看板が実はごまかしだったこととあわせ、国民への説明責任をないがしろにする小泉内閣の姑息(こそく)な姿を重ねて示すものである。まさに“小泉政治に信なし”である。

 小泉内閣のこうした姿勢は、最近の閣僚の相次ぐ「失言」にもつながっている。明らかに国民を愚弄(ぐろう)し、国権の最高機関たる国会をはなはだしく軽視するもので、遺憾極まりない。小泉内閣は即刻退陣すべきである。

 さて、今年二月、自衛隊のイラクへの派遣が与党の賛成多数で承認されたが、現地イラクの情勢は、イラク全土のどこにイラク特措法にもとづく非戦闘地域があるのかと問われればだれも答えられない状況にある。自衛隊の宿営地であるサマワも例外ではない。新たな国連決議によりイラクの治安維持のため、新たな多国籍軍を編成する動きもあるが、イラク特措法にもとづく自衛隊の派遣は一たん中止し、すみやかに撤退すべきである。また、国会できちんとした議論もおこなわず、イラク特措法にもとづき、「復興支援」を名目にイラク現地に派遣されている自衛隊をそのまま多国籍軍に参加させることは憲法上の疑義もあり容認できない。小泉内閣の責任は極めて重大である。

 もはや、小泉内閣に残された役割はただ一つ。すみやかに退陣することである。

 以上が本決議案を提出する理由である。


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