2004年6月12日(土)「しんぶん赤旗」
日本共産党国会議員団が十日、参議院に提出した「干潟海域の保全等に関する法律案」の特徴は次の通りです。
1、日本全国の主な干潟を浅海域とともに「干潟海域」として一体的に保全する。そのため、干潟海域の多面的機能を確保する観点から対象を選定し、干潟海域保全区域に指定する。保全区域には一体として保全する必要がある後背地を含めて指定することができる。
2、過去に干潟海域であって干潟海域として復元することが可能な区域や、干潟海域の多面的な機能が失われている干潟海域について、環境大臣が国際的、全国的見地から復元目標や復元区域を定め、多面的機能を持つ干潟海域に復元する。復元事業は、自然再生法の手続きにより実施する。
3、干潟海域保全・復元の基本理念を定め、(1)現存する干潟海域はできる限り保全すること(2)干潟海域を構成している海面・海中・海底・底質やそこに生息・生育する生物を全体として保全すること(3)干潟海域の保全等は、地域住民、NPO、学識経験者等、国民の意見を広く反映して行うこと――を明らかにした。
4、基本方針の策定や保全区域指定、復元区域指定に住民等の意見が反映される仕組みとするとともに、保全区域ごとに協議会を設置して、地域住民やNPO・NGO、学識経験者が保全計画や復元計画の策定に参加できる仕組みとした。
5、干潟海域保全区域については、埋立て・干拓、しゅんせつ・掘削、大規模な工作物の設置を禁止し、干潟海域を現状のまま保全する。現状の保全だけでは干潟海域の多面的な機能が保全されない場合は、干潟海域保全計画を策定し、保全事業を実施する。
6、干潟海域保全区域については、区域の指定前から進行中の禁止対象事業についても、中止させることが可能となる。一定面積以上の干潟海域については、保全区域の指定以前でも、事業の事前届出を義務付けた。また、禁止対象以外の事業(保全区域外の事業も含む)に対しても、干潟海域の保全のための措置を勧告することができることとした。
7、国立公園、自然環境保全地域内の保全区域については、環境大臣が保全計画の策定や規制等を行い、その他の保全区域については、都道府県知事が行うこととした。都道府県は、本法の規定のほか、条例によって干潟海域の保全に必要な規制をすることができる。
8、環境大臣、知事が、干潟海域の調査、研究、保全に資する活用(ワイズユース)に関して保全計画を定めて実施するとともに、国、都道府県は干潟海域の保全に必要な調査を定期的に行い、干潟海域の保全に活用する(フィードバック)こととした。