2004年6月9日(水)「しんぶん赤旗」
日本労働弁護団の弁護士が電話で労働相談に応じる「全国一斉残業・賃金・リストラ一一〇番」の相談結果が八日、まとまりました。五日を中心に実施され、相談件数は七百七件。東京の本部では五日、十五人の弁護士が七本の電話で応対しましたが、受話器を置くと次の電話が鳴るという状況で、過去最高の二百九件の相談がありました。
「残業についての相談が多いというのが印象」と、弁護士たちは口をそろえていました。
相談内容は、残業代不払いが一位で百八十件。次いで、賃金不払い(百二十六件)、解雇(九十件)、過重労働など労働時間(八十八件)の順になっています。
「十年前から土日出勤は当たり前。平日は深夜十二時、一時まで仕事。睡眠不足でデート中に居眠りをしてしまい、縁談がうまくいかなかったこともあった。医者にもいけない」(技術者の男性・四十歳)、「残業は月に三百時間。休日は半年に一回。血便がでる。胃かいよう、十二指腸かいようあり」(銀行員の男性・三十四歳)と際限のない長時間労働に駆り立てられ、健康破壊がますます深刻になっている訴えが相次ぎました。
「夫は日曜も自宅で仕事。睡眠時間が三時間から四時間」(電機大手の管理職の妻)と家族から不安を訴える相談も多く寄せられました。
長時間こき使われても残業代が払われないケースも次々。「朝七時半か八時に始業。終業は深夜十二時から一時ごろ。給料は二十六万円程度で残業代はゼロ。講習会に参加を強制され、有給休暇を使わされている」(飲食チェーンの男性・二十四歳)、「月平均四十時間から六十時間の残業をしているが、支払われない。会社は、課長だから管理職であり、支払い義務はないといっている」(文具・事務機器の男性・五十五歳)、「年俸制を理由に労働時間管理がまったくなされないままに、夜十時以降までみんな働いている。年俸制だから残業代はつかないといわれている」(上場企業の女性・四十歳)
今回、特徴的なのは、違法な残業代隠しが悪質になっていることです。
「不払い残業で労働基準監督署が調査に入り、『指導』されたにもかかわらず、改善されない。社員に圧力をかけて、残業の証拠が改ざんされている」(コンピューターソフト業の男性)、「タイムカードはあるが、社長が勝手に朝九時から夕方五時で押してしまう」(工務店・男性)、「基本給を九万円下げて、その分を残業名目で支払うようになった」(配送の男性・四十四歳)、「残業時間を工場長が実際より少ない月十五時間になるように書き直して本社に報告している」(整備工場の男性・三十代)
長時間労働がまかり通る一方で、大企業では強引なリストラが依然すすめられている実態が浮き彫りになりました。
「昨年六月にリストラ部屋に五百人入れられ、職種転換、教育を受けた。希望退職に応じないと出向させられた。出向先で『お前はいらない。戻れ』といわれた。うつ病になって休業している」(大手電機メーカーの男性・五十二歳)、「三百人規模の希望退職を募集。『応じなければ、どこにでも配転してやる』と脅されている。東京に残るなら、関連会社に出向するようにいわれている」(食品大手の管理職・五十一歳)
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労働弁護団東京本部では九日から、残業・長時間労働の相談にテーマを絞った専用の「残業ホットライン」を常設します。毎週水曜日の正午から午後一時半まで。電話03(3251)5363