2004年6月8日(火)「しんぶん赤旗」
|
「中小企業の資金繰りの円滑化に大きな成果を上げておりますので、来年度(二〇〇四年度)も本制度を円滑に実施していく予定です」
一月二十三日、参院本会議での代表質問。小泉純一郎首相は日本共産党の西山とき子議員が借換保証制度継続を求めたのにたいしこう答えました。「昨年度限りかと不安だっただけに、制度継続は大きな朗報でした」(京都の業者)と喜ばれています。
借換保証制度は昨年の補正予算で実現、これまでに全国で四十二万五千件、六兆三千億円を超える保証実績を上げています。(五月二十六日現在)
―「西山先生にはご指導いただいた」
小泉内閣が進めてきた「不良債権最終処理」。信用金庫、信用組合つぶしが行われ、地域金融がずたずたにされ、中小企業がRCC(整理回収機構)送りの不安にさらされているなかで、なんとか中小企業の経営を支えようと、〇一年一月から京都で始まったのが「借換保証制度」です。
中小業者団体と共産党の京都府・市議の連携で実現した同制度。西山議員はなんとか国の制度に実現できないかと考えました。府・市の制度では、国の「経営安定化資金」の借り入れは借り換えの対象にならないために、西山議員のところには国での実現を求める要請が相次いでいたのです。
西山議員が国会で質問すること七回。市田忠義書記局長が〇二年の代表質問で要求したほか、塩川鉄也衆院議員や、八田ひろ子、小池晃両参院議員ら日本共産党国会議員団が実現に向けて論戦を繰り広げました。
政府は「モラルハザードを招く」などと、当初は消極的でした。京都の実例を突きつけての再三にわたる質問に、当時の平沼赳夫経済産業相の答弁は「研究させていただく」と変化します。
そしてついに、〇三年度補正予算で借換保証制度を盛り込むことになりました。平沼経産相は「西山先生からご指導いただいた」とふり返りました。
日本共産党国会議員団は制度実現後も、運用改善を求めて奮闘しました。借り換えは融資条件の変更にあたるからと、金融機関が新規融資や融資の増額を拒否するなど、「やる気と能力のある中小企業の資金繰りを円滑化する」という制度の趣旨に反する対応が全国で問題になっていたからです。
小池、西山、八田各参院議員や塩川衆院議員らは、借り換えや新規融資を申し出て門前払いにあった業者の実情などをつきつけ、改善・指導を要求。「制度をつくったことにまさに逆行する」(平沼経産相)、「条件変更を受けているという理由だけで保証を断ったり、増額を認めないのは趣旨の不徹底だ」(杉山秀二中小企業庁長官)、「条件変更があるから(融資が)できるできないという話ではない」(五味廣文金融庁監督局長)などの答弁を次つぎ引き出し、制度の趣旨の徹底・指導を約束させました。(別項)
業者の相談に応じる信用保証協会や金融機関の窓口での対応は制度運用の要です。党国会議員団の活躍は、制度に“魂”を吹きこむものでした。
八田ひろ子参院議員 「名古屋市保証協会では、条件変更中を理由として(融資の増額等について)門前払いの扱いがあった。これは制度の趣旨から外れているのではないか」
杉山秀二中小企業庁長官 「外的な基準としての条件変更を受けているという理由だけで保証を断ったり、増額を認めないというのは趣旨の不徹底ということだ。趣旨はきちっと引き続き関係のところに徹底させたい」(03年5月23日、決算委員会)
西山とき子参院議員 「無担保保険の八千万円のうちで五千万円までは第三者保証人なしで受けられることになっているが、五千万円以下でも第三者保証人が求められている。この点も改善を」
杉山長官 「無担保保証の利用が五千万円以下という場合には第三者保証人を徴求しないということで運用をいたしております。債務を一本化した場合でもその無担保保証の残高が五千万円以下であればその原則適用するということで考えておる」
(03年5月22日、経済産業委員会)
小池晃参院議員 「条件変更をした貸し付けは(借り換えが)門前払いだとか、借り換えるとその期間中は新規融資が難しいといわれたなどの話がでている。調査もして必要な指導をすべきではないか」
五味廣文金融庁監督局長 「この制度を利用しているから、そういう条件変更があるから(新規融資が)できるできないという話ではない」(03年4月23日、金融問題特別委員会)
借換保証 長引く不況で売り上げが減少している下、借金の返済が中小企業に重くのしかかっています。借換保証制度は、信用保証協会の保証付き借入金を、より返済期間の長い融資へ借り換えたり、複数の借入金の債務を一本化することにより、月々の返済を軽減するものです。