2004年6月3日(木)「しんぶん赤旗」
日本共産党が二日発表した参議院選挙政策「政治のゆがみをただす本物の改革をすすめ、国民が希望をもてる日本をめざします」(全文)は次の通りです。
いよいよ参議院議員選挙が間近にせまりました。
いまの日本の政治・経済・外交はこのままでよいのか。どうしたら、国民のための政治にきりかえることができるのか。ゆきづまりを打開する道をさししめしているのはどの政党か。こうした大事な問題が問われるのが、今度の参議院選挙です。
日本共産党は、悪政に正面から立ち向かい、政治のゆがみを正す本物の改革をすすめます。
自民・公明連立による小泉内閣ができて3年。この間、小泉内閣がやってきたことは、外交では、アメリカいいなりが極限まですすみ、国際法違反のイラク侵略戦争・軍事占領に加担して、戦後はじめて戦場に武装した自衛隊の派兵を強行しました。そして、内政でも、財界・大企業の利益と身勝手な要求を最優先にする政治を「構造改革」の名ですすめ、年金、医療、介護と社会保障を相次いで切り捨て、大企業のリストラを応援し、失業を増やし、若者のフリーター化をはじめ、安定した雇用を破壊するなど、国民に「激痛」を押しつけてきました。
この内閣の3年間は、この国のくらしと平和を土台からこわすような悪政を次々に強行してきた3年間でした。しかも、憲法の改悪、消費税の大増税など、「国のゆくえ」にかかわる悪政をさらにおしすすめようとしています。いまわが国の政治は、つぎのような深刻な問題に直面しています。
――アメリカが引き起こしたイラクへの侵略戦争・軍事占領に歴史的な断罪が下されつつあるのに、日本が自衛隊派兵をこのまま続けていいのか。
――安心できる年金制度をどうつくるのか。負担増と給付削減をくりかえし、容赦なく「痛み」を国民に押しつける政治をこれからも続けるのか。
――「年金や社会保障の財源」を口実に、自民・公明も、民主も公然と打ち出している消費税大増税を許していいのか。
――リストラ、長時間労働・サービス残業はやらせ放題、派遣やパートなど、いつでも「クビ」にできる「使い捨て」の働かせ方をどんどん広げるのか。大企業の「利益」のためには、雇用もくらしも平気で崩していく政治でいいのか。
――世界に誇るべき日本国民の「宝」=憲法9条を改悪して、日本をアメリカとともに「戦争をする国」にしてしまうのか。
――北朝鮮問題を解決し、北東アジアに平和と安定の国際関係をきずくために、何をしていくのか。
これらは、わが国が直面するさまざまな課題の中でも、とりわけ今度の参議院選挙の結果によって、そのゆくえが左右される熱い焦点です。
大義のない侵略戦争に続いて、いまもイラクへの軍事占領を続ける米英両国は、世界で孤立を深めています。それに追随して無法な戦争を支持し、自衛隊の派兵で加担する日本の小泉内閣の責任が、きびしく問われています。
米英によるイラクの軍事占領は、日に日に侵略者の残虐な本性をむきだしにしています。イラク民間人の死者はすでに1万人をこえました。米軍は、イラク中部の都市ファルージャを包囲して市民への無差別攻撃を繰り返したのをはじめ、全土を野蛮な軍事占領で支配し、イラク国民の怒りと抵抗をますます激しくしています。とりわけ、米軍によるイラク人拷問・虐待事件は、侵略戦争の本質をむき出しにしたもので、イスラム社会をはじめ全世界の憤激を呼んでいます。こうしたなかで、米英の軍事占領に協力して軍隊を派遣していた国々が、次々と部隊を引き揚げはじめています。米国内でも、戦争への批判が高まり、撤退を支持する声が広がっています。
国連憲章を踏みにじった侵略戦争と軍事占領支配の破綻(はたん)は、いまや明瞭(めいりょう)です。アメリカは、6月末にイラクへ「主権移譲」するといいますが、アメリカの方針は、「主権移譲」をきわめて限定的なものにし、アメリカがあくまで占領軍の指揮権をにぎりつづけることであり、米軍の規模も減らすどころか増派さえ公然と検討しています。
いま、イラク問題を道理ある打開の方向にきりかえなければ、取り返しのつかないことになってしまいます。米軍主導の無法な軍事占領支配を一刻も早く終わらせ、主権を名実ともにイラク国民に返し、イラク国民の意思で、イラクの復興と国づくりをすすめるべきです。国連は、その方向に真に役立つ枠組みをつくることに全力をあげるべきであり、米英を中心とした占領軍はすみやかに撤退すべきです。国際社会全体が、イラク国民の自主独立の国づくりを応援することが強く求められています。
重大なことは、アメリカによる無法な軍事占領に協力・加担するために自衛隊の派兵・駐留を続ければ、米軍のイラク住民にたいする弾圧・虐待の“共犯者”にさえなりかねない危険が増していることです。これは、わが国とイラク国民、アラブ・イスラム諸国との矛盾を広げ、日本とイラクの両国民に取り返しのつかない犠牲や災厄をもたらすことにもなりかねません。日本が、世界史にぬぐうことのできない汚点を残すこのような道をすすむことを、日本国民は決して許しません。
小泉首相は、自衛隊のイラクへの派兵にあたって、「非戦闘地域に限る」「人道復興支援が任務」といいました。いまや、この二つのいいぶんは、完全に崩れ去っています。
これまで、「比較的平穏」といわれていたサマワでも、自衛隊を標的に迫撃砲が撃ち込まれるなど、政府が繰り返してきた「非戦闘地域に限る」という口実は通用しない状況です。
「人道支援のため」という口実も崩れました。政府が宣伝する自衛隊の給水活動は、イラク国民の支援活動に従事するボランティア団体の400倍もの予算を使いながら、実際に提供している水はその1割以下というありさまです。しかも見逃せないのは、自衛隊の駐留が、NGO(非政府組織)やボランティア団体の活動を重大な困難に陥れていることです。
日本共産党は、イラクからの自衛隊のすみやかな撤退を強く求めます。
年金制度をめぐる今日の最大の問題は、日々の生活を到底まかなえない低額年金、無年金の人が膨大な数にのぼっていることです。実際、国民年金しか受給していない高齢者は900万人もいますが、受給額は平均で月額4万6000円にすぎません。厚生年金も、女性を中心に劣悪な状態が放置されています。
さらに重大なことは、国民年金の保険料を払っていない人がすでに1000万人を超えるなど、年金制度全体の空洞化がすすんでいることです。改革というなら、こうした現状を打開することこそ、いま緊急にもとめられていることです。
ところが、政府・与党の年金法案は、こうした問題の解決策をまったくしめさないばかりか、保険料は連続で引き上げ、給付水準は低額年金もふくめて一律に引き下げるというものです。しかも、政府はこれまで、「将来の保険料の上限を2017年から固定し、給付水準の下限を明らかにした」と弁解してきましたが、その説明はまったくの偽りでした。
保険料の上限については「固定される」どころか、国民年金では、賃金の上昇にともなって2017年を過ぎても上がり続け、今から30年後には3万円を超えます。また、給付の下限についても、政府がこれまで説明してきた「現役世代の収入の5割を保障する」のは、ごく限られた「厚生年金モデル世帯」だけであり、それも年金受給がはじまる時だけで、その後は5割を大幅に下回ることも明らかになりました。
こんなことをすれば、年金の空洞化をさらに深刻にするだけでなく、憲法25条が保障する国民の「生存権」を、政府みずからが根本から破壊することになります。日本共産党は、まったく「改革」の名に値しない政府の年金大改悪計画に強く反対します。
日本共産党は先に、「『最低保障年金制度』を実現し、いまも将来も安心できる年金制度をつくる」という改革案を発表しました。その中心点は、「すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利がある」とした憲法25条の「生存権」を保障する見地に立って、老後の生活をささえるために、全額国の負担でまかなう「最低保障年金制度」を実現させることです。第一歩として、最低保障額を月額5万円とし、その上に、支払った保険料に応じて一定額を上乗せし、低額年金を底上げする制度をスタートさせます。
「最低保障年金制度」の実現に踏みだせば、低額年金や無年金者の問題、年金制度全体の空洞化、サラリーマン世帯の専業主婦の「第3号被保険者問題」など、今日の年金制度が抱えるさまざまな矛盾を根本的に解決する道が開けます。
日本共産党は、安心できる年金制度にするために、(1)年金財源は、大型公共事業や軍事費などの浪費を削減するとともに、「所得や資産に応じて負担する」という経済民主主義の原則をつらぬき、大企業や高額所得者に応分の負担を求めて確保する、(2)巨額の年金積立金は、高齢化がピークを迎える2050年ごろまでに計画的に取り崩して年金の給付にあてる、(3)リストラや不安定雇用に歯止めをかけ、年金の支え手を増やす、(4)少子化の克服は、年金問題を解決するうえでも大事であり、子どもを安心して生み育てられる社会をつくる――この四つの改革に取り組みます。
この改革を着実にすすめれば、給付を減額せずに、低額年金を底上げすることができます。将来、経済が発展の軌道に乗り、国民の実質所得が増えていくなかで、年金改善のために国民に保険料の負担増を求める場合も、政府の計画よりはるかに低い水準にとどめることができます。
自民・公明・民主は「年金の一元化問題を含む社会保障制度全般の一体的見直し」を行い、2007年3月をメドに「結論を得る」ことで合意しました。
日本共産党は、年金制度間の格差をなくし、国民から見て公平な制度をめざすべきだと考えます。そのために、いちばん具体的で、現実的な方法は、最低保障年金制度を創設して、国民年金と厚生年金の低い部分の底上げをはかり、全体として格差を縮小していくことです。そうしてこそ、誰もが「生存権」を保障される年金制度への道が開けます。
しかし、小泉首相や自民・公明・民主の3党合意で言っている「一元化」議論には、こうした考え方はありません。むしろ、年金制度を全体として貧しくする方向で制度を一本化する――負担は重い方に、給付は少ない方にあわせることになりかねない危険なものになっています。
実際、現状の枠組みのもとで、国民年金と、厚生年金・共済年金の保険料や給付水準の統一を「一元化」の名でおこなえば、保険料の大幅な引き上げか、もしくは給付水準の引き下げになるだけです。国民年金を被用者年金にあわせれば、事業主負担のない国民年金の保険料は数倍にはねあがり、年金に加入できない人たちがさらに増大することは必至です。逆に、被用者年金を国民年金にあわせれば、被用者年金の給付水準を大幅に引き下げるとともに、財界が要求しているように、被用者年金への事業主負担をなくしてしまう入り口になりかねません。日本経団連が昨年1月に発表した「奥田ビジョン」では、年金などの社会保険料の事業主負担をなくす方向を打ち出しています。どちらにしても、国民にとってよいことは一つもありません。
日本共産党は、このような年金の水準をいっそう貧しくする「一元化」には反対します。
年金をめぐる問題で、いまほど、国会の信頼が地に落ちているときはありません。国民の不信をとりのぞくためにも、ただちに国会は以下のことを実行すべきです。
第1。国会議員・閣僚の年金未納が問題になっています。国会議員や閣僚は、国の年金制度そのものを決める権限をもち、それだけに特別な責任があります。日本共産党はこの自覚に立って、全政党のなかで最初に、すべての議員の加入・納入状況を公表しました。すべての政党は、国会議員も強制加入の対象となった86年4月以降の全議員の国会議員在職中の納入状況を公表すべきです。自民党は、年金法案を提出した与党として特別の責任があるにもかかわらず、公表を拒否し続けています。ただちに全議員の納入状況を公表することを求めます。
第2。「国会議員互助年金」は、国庫負担が7割にものぼる、きわめて特権的な制度であり、国民の国会不信の大きな要因です。もともとこの制度は国民の税金は使わないとして発足しました。日本共産党は、特権的なやり方をただちにやめ、制度発足時の約束どおりに国庫負担を全廃した互助制度にすることを提案しています。国会での協議にあたっては、制度の廃止も視野に入れて、抜本見直しを実現します。
「年金や社会保障の財源」を口実にした消費税増税の動きが表面化しています。自民党と公明党は、昨年12月に、2007年度をめどに「消費税を含む抜本的税制改革を実現する」(与党「税制大綱」)ことを合意し、3年後の消費税増税を打ち出しました。民主党も、2007年度から、「年金目的消費税」などとして、消費税を8%に引き上げるとしています。さらに年金制度「改革」をめぐる自公民3党合意は、「社会保障制度全般について、税、保険料等の負担と給付の在り方を含め、一体的な見直し」をおこなうとしており、大増税計画をすすめることをあらためて確認しあいました。政府・与党はもちろん、こんな「合意」で、政府の年金大改悪法案の衆院通過を容認した民主党の責任も重大です。
年金をはじめ社会保障の連続改悪で、負担増と給付削減を国民に押しつけることと一体に、消費税の大増税を強行しようとしているのです。
日本経団連や経済同友会は、昨年から消費税を段階的に18%とか19%に引き上げるという構想を相次いで打ち出し、「遅くとも2007年度までには10%とすべき」(日本経団連)などとしています。そして、消費税増税とあわせて「法人税率の引き下げ」や「年金など社会保険料の企業負担の廃止」をもとめています。財界の本音は、「社会保障のため」ではなく、大企業の負担を減らして、それを消費税で「穴埋め」することです。
消費税導入のときも、5%への増税のときも、「年金などの社会保障財源のため」が口実にされました。しかし、消費税が導入されて以降、社会保障は、よくなるどころか、改悪の連続でした。
導入以来16年間で、消費税の総額は148兆円にもなります。同じ時期に法人3税(法人税・法人住民税・法人事業税)は、大企業減税や不況の結果、145兆円も減りました。消費税は社会保障の財源になるどころか、法人税などの減収の穴埋めで消えてしまったのです。
もともと消費税は、所得が少ない人ほど負担率が高くなる不公平な税制です。しかも、大企業は1円も負担しません。社会保障は国民のくらしを支える制度であり、その財源のためとして、立場の弱い人に重くのしかかる消費税増税をもちだすのは、はなはだしい本末転倒です。
消費税の大増税は、庶民のくらし、中小零細事業者の営業を直撃し、景気を悪化させます。そうなれば国民の所得はますます落ち込み、社会保険料の収入も減り、年金や医療保険の財政がますます苦しくなるという悪循環におちいります。これでは、社会保障はよくなるどころか、ますますひどくなるだけです。
消費税は、「所得の多いものは多く、少ないものは少なく」、「生きていくために必要な生計費には税をかけない」という近代的な税の大原則に反する「最悪の不公平税制」です。
“増税は先の話”などと思っていたら大変です。増税がねらわれている2007年は、この参議院選挙で選出される議員の任期中であり、増税をかかげる自民党、公明党、民主党への1票は、消費税増税に賛成する1票となってしまいます。
日本共産党は、国民のみなさんとともに、3年後にせまった消費税増税計画にストップをかけるために全力をあげます。
この5年間に、正社員(正規雇用)が400万人も減少し、派遣、契約、パートなどの不安定雇用が370万人も増えています。多くの大企業が正社員を減らしながら、賃金も低く、労働条件も劣悪なうえに、いつ解雇されるかわからない派遣や契約、パートなどの不安定雇用にきりかえているからです。とくに、不安定雇用は、若者の間にひろがり、5人に1人がフリーターという状態になっています。
政府が「雇用の構造改革」などといって推進してきたのは、こんな大企業のリストラと、不安定雇用へのきりかえをもっとやりやすくすることでした。その手法は第一に、派遣労働や有期雇用を拡大する労働法制の改悪です。派遣労働より、もっと劣悪な条件の業務請負が急増しているにもかかわらず、何の対策もとらず、監督官庁さえないという状態です。裁量労働制の拡大など、長時間労働をさらに激しくする「規制緩和」もすすめてきました。第二は、リストラをすれば税金をまけてやるという産業再生法や、合併、営業譲渡、分割など会社組織再編を利用したリストラ、賃下げをやりやすくする労働契約承継法の制定などで、大企業経営のリストラを応援することをつうじて“首切り”を推進してきたことです。産業再生法などはきっぱり廃止すべきです。
もともと日本は、雇用を守るルールが、ヨーロッパ諸国などと比べて弱かったうえに、さらにルールを後退させ続けているのです。
人間はモノではありません。21世紀をになう若者を「使い捨て」にしたり、過労死さえ生み出すほどの長時間・過密労働が横行する社会や企業に未来はあるでしょうか。
安定した雇用と人間らしい働き方をまもる労働条件の確保、若者にやりがいのある仕事を増やすために、雇用への企業の社会的責任をきちんと果たさせる雇用政策への転換をすすめます。
長時間労働を是正し、人間らしい働き方を確立することは、日本社会の異常をただすうえでも、新たな雇用創出という面でも重要なカギになっています。リストラで人を減らし、不安定雇用に置き換え、少なくなった正社員にサービス残業と長時間労働を強いる非道なやり方をやめさせます。
サービス残業は、労働者1人当たりの平均でも年間200時間を超えています。これを新規雇用に振り向ければ、160万人もの雇用創出効果があると推計されています(第一生命経済研究所)。有給休暇も取得率が5割以下にまで下がっていますが、完全に取得できるようになれば、政府の試算でも、150万人の新規雇用創出と12兆円の経済波及効果があります。
派遣やパートなどの雇用形態によって差別したり、労働条件に格差を持ち込むことは、本来あってはならないことです。「同一労働同一賃金」は、近代社会が確立した大原則です。ところが日本では、正規雇用と非正規雇用の格差は拡大する一方で、フルタイマーとパートタイマーの1時間当たりの賃金格差は49・7%と、ドイツ82・5%、フランス73・0%などからみても異常です。
EU(ヨーロッパ連合)では、97年にはパート労働者、99年には有期雇用に対して、EUの法律にあたる指令で「均等待遇」のルールをつくり、02年には、「派遣労働者の基本的な労働条件は、派遣先企業により直接雇用された場合に適用されるのと同一の労働条件」などとする「派遣労働者保護指令案」が提出され、採択にむけた議論がすすんでいます。パートや派遣と一般労働者との「均等待遇」をはかることは世界の流れです。
派遣やパートへの不当な差別や格差をつくり、利用して、非正規雇用への置き換え、若者のフリーター化を加速させるというやり方は許されません。日本の産業や企業の将来にとっても重大な禍根を残します。
日本共産党は、昨年、「パート・有期労働者均等待遇法案」を国会に提出し、「賃金、休暇、教育訓練、福利厚生、解雇、退職その他の労働条件」を、パートや有期雇用(契約社員)の労働者と一般の労働者を「差別的取扱いをしてはならない」ことなど均等待遇を保障することを提案しました。派遣労働者にも、均等待遇の義務づけと、派遣先企業での正規雇用への道を広げます。法律違反や不当な賃金のピンはねが横行している業務請負を厳しく監督するとともに、この分野にも「均等待遇」を徹底します。
日本共産党は、これまでも若者の雇用拡大の政策を発表してきましたが、とくに、政府として、大企業に若者を正社員として採用することを強く求めるとともに、福祉、医療、防災、教育など国民のくらしに必要な分野での人手不足を解消する、若者への職業訓練の機会を大きく増やすなどの対策を強めるよう求めます。そのためにも、フランスの40分の1、OECD諸国平均の10分の1(GDP比)というように、圧倒的に少ない日本の若者雇用対策予算を抜本的に増やします。
いま、自民党、公明党、民主党が、憲法の改定を競いあっています。自民党は、小泉首相の指示で、来年秋までに憲法「改正」案をまとめる準備をすすめ、野党の民主党も、これに呼応して改憲案づくりをはじめました。
改憲勢力のねらいは、「戦争はしない、軍備はもたない」と決めた9条を改悪することです。これらの勢力は、“いまの憲法には「環境権」や「プライバシー権」がないから”などともいっています。しかし、公共事業で環境を破壊し、盗聴法でプライバシーを侵した勢力が、いくらこう主張しても、何の説得力もありません。これらの権利は、現行憲法が多彩で豊かに保障した人権規定をよりどころにして、国民の力で具体化できたものです。憲法の文言に書かれていないからといって改憲の理由にはなりません。ましてや、これを“かくれみの”にして憲法9条を改悪することなど許されません。
憲法9条改悪のねらいはなんでしょうか。
これまで、有事法制やイラク特措法など、自衛隊を海外に派兵するためのさまざまな法律がつくられてきました。しかし、そのどれも、「海外で戦争はしない、武力行使はしない」ことを建前にしてきました。憲法9条が“歯止め”となって、「戦争をする」と公然と決める法律をつくるわけにはゆかなかったからです。9条改悪のねらいは、この“歯止め”を憲法そのものから取り払い、日本をアメリカとともに公然と「海外で戦争をする国」にしてしまうことです。そうなれば、日本は無法な侵略国の仲間入りをすることになり、国連の平和のルール確立を求める世界の流れに逆行することになります。
改憲勢力は、現行憲法はアメリカによる「押しつけ憲法」だといいます。しかし、「9条をなくせ」という議論こそ、アメリカに押しつけられたものです。いちばん最初の9条改憲論は、憲法がつくられた翌年(1948年)に米陸軍が言い出しました。現在の改憲論も、4年近く前、アメリカのアーミテージ国務副長官が「集団的自衛権を採用せよ」という報告をつくったことからはじまりました。
憲法9条は、先の戦争の悲惨な体験から痛切な教訓を学んだ日本国民が、「二度と戦争をくりかえすまい」という決意を込めて刻み込んだもので、日本国民が世界に誇る宝です。日本共産党は、日本と世界の平和のため、憲法9条の改悪を絶対に許しません。憲法改悪に反対し、平和原則を守るという一点での国民の共同を広げます。
いま国会で審議されている有事関連法案は、アメリカが日本周辺で先制攻撃をおこなうとき、日本が共同で参加するためのものであり、日本とアジアの平和に逆行します。法案の成立を阻止し、有事法制を発動させないため、全力をつくします。
改憲論者は、「9条は現実にあわない」と攻撃します。しかし、2000年に国連で開かれたNGOの会議で、「すべての国が、その憲法において、日本国憲法9条に表現されている戦争放棄原則を採択すること」が提案されました。いま、「9条」の値打ちが世界で光り輝いています。日本は、憲法9条の先駆的な値打ちを生かし、平和外交の先頭に立つべきです。「非核三原則」「武器禁輸原則」は、憲法9条が生み出した、世界でも先駆的な外交原則です。空洞化や「死文化」を許さず、将来にわたって堅持します。
北東アジアは、日本のもっとも身近な国際環境であり、ここに安定した平和の国際関係をきずくことは、21世紀の日本の平和的な発展にとってもっとも切実な課題です。
東南アジアでは、ASEAN(東南アジア諸国連合)地域フォーラム(ARF)での安全保障対話や、東南アジア友好協力条約(TAC)のような、全域にまたがる平和の流れがつくられるなど、平和的な国際関係がすでに成立しています。
しかし、東北アジアでは、朝鮮半島や台湾海峡に緊張の要因をかかえており、これを解決することは、この地域での長期的な平和関係の確立にとって不可欠の課題です。これを達成すれば、東アジア全体の平和と安定に大きく貢献できます。
5月の日朝首脳会談で、2002年9月に締結された「日朝平壌宣言」が日朝関係の基礎として再確認され、拉致問題や核・ミサイル問題、人道援助問題などで一定の合意がみられたこと、国交正常化への前進の方向が確認されたことは重要です。「日朝平壌宣言」の確認にもとづいて、日本と北朝鮮とのあいだの諸懸案を解決するとともに、国交正常化への前進をはかります。
拉致問題の解決に取り組む……1988年3月に日本共産党が国会で拉致問題を取り上げ、政府が、ここに北朝鮮との関係における重大問題があることをはじめて認めてから16年が経過しました。2度にわたる日朝首脳会談で、解決への前進がはじまりましたが、曽我ひとみさんのご家族の問題の解決、安否不明者の再調査など、残された諸問題への努力をはじめ、日本側の納得できる解決がはかられなければなりません。日本政府に、そのための努力を尽くすことを強く求めます。北朝鮮にたいして、こういう問題を解決してこそ、国際社会に仲間入りすることにつながることを強くうながすべきです。
核問題の明確な解決を求める……日本共産党は、北朝鮮の核兵器開発の危険性を根本から取り除き、朝鮮半島の非核化を達成する明確な解決を強く求めます。日本は、北朝鮮との首脳会談で2度にわたって非核化の目標を確認しあった国として、北朝鮮問題をめぐる、アメリカ・北朝鮮・中国・日本・韓国・ロシアによる6カ国協議でも特別の役割と責任をになっています。
国交正常化にむけた前進を……北朝鮮は、侵略戦争と植民地支配という日本の“過去の遺産”が清算されないまま残っている唯一の地域です。この問題を解決して、北朝鮮との正常な国交を確立しないと、日本の戦後は終わりません。日本は、歴史的責任を果たす立場で取り組むことが必要です。「日朝平壌宣言」を基礎に、両国関係の国交正常化を実現することは、日本の今後の平和と安全のうえでも、北東アジアの平和と安全を実現するうえでも、歴史的な前進となります。
交渉にあたっての原則的な態度……日本共産党は、日朝間の諸問題を、平和的な交渉によって道理ある形で解決することを一貫してめざし、そのために努力してきた政党として、ひきつづき力をつくします。
北朝鮮問題では、いまの体制を打倒するという立場の議論がありますが、その国の政治にあれこれの問題があったとしても、それを解決するのは、その国の国民の仕事です。国と国の関係に、「体制打倒」論をもちこむことは、アメリカがイラクでやったことと同じ性質の干渉主義におちこむことになります。
日本共産党は、日本と北朝鮮との関係に「体制打倒」の是非といった考えをもちこむことをきびしくしりぞけ、国と国の関係をきちんと確立することを国際関係の大道にする態度を貫きます。
日本は、1895年に中国から台湾をとりあげて、50年間にわたってここを自分の植民地とし、1945年のポツダム宣言を受諾して中国に返還した国であり、台湾問題には、歴史的にも特別の責任をおっています。日本が、国際関係において「一つの中国」という原則を堅持することは、その立場からいってもとりわけ重要です。
「一つの中国」に到達する方法としては、平和的な方法で、台湾住民の合意のもとに中国大陸と台湾の統一を実現することを、強く希望し、そのためにあらゆる努力をつくします。
昨年8月に開始された北朝鮮問題をめぐる6カ国協議は、北東アジアにおける平和と安定の問題で、戦後はじめてすべての関係国が一堂に会して協議する場です。この協議が、北朝鮮問題で道理ある解決をみれば、その成果は、朝鮮半島問題にとどまらず、広く北東アジアの平和と安定のための新しい枠組みを生み出すうえでも大きな展望が開けます。
将来的には、この6カ国協議を足がかりに、北東アジアの平和と安定の国際関係の確立をめざす発展的な取り組みが重要です。
日本共産党は、こういう立場で、北朝鮮問題の解決、北東アジアの平和と安定の確立をめざして、今後とも国の内外で努力をつくします。
いま、日本の国政は、以上にのべた「6つの熱い焦点」をめぐって“動乱”のさなかにあります。日本共産党は、この一つひとつを着実に解決するために、「国民こそ主人公」の立場をつらぬいて全力をつくします。
同時に日本共産党は、いまの内政、外交・軍事のゆがみを大もとから正す日本改革をすすめ、21世紀の早い時期に、文字どおり「国民が主人公」となる日本をつくるために国民のみなさんとともに力をあわせます。
ほんものの改革をすすめるためには、日本の政治や経済のどこに正すべき問題があるのかをはっきりさせなければなりません。私たちは、(1)税金の使い方や集め方の点でも、国民のくらしや権利を守るためのルールという点でも、大企業・財界ばかりが優遇され、経済の基盤である国民のくらしにその犠牲が押しつけられていること、(2)日米安保条約=日米軍事同盟にがんじがらめにしばられ、外交や軍事が、世界に類を見ない「アメリカいいなり」で徹底していること、(3)憲法の平和・人権・民主の理念がないがしろにされ、憲法が国の政治の基本にすえられていないこと、――ここにこそ、日本の国政の最大の問題があると考えています。
日本共産党は、国民の苦難の大もとにある政治のゆがみそのものに抜本的なメスを入れ、21世紀の日本を、国民が希望をもってくらせる国にするために大きく舵(かじ)をきりかえます。
自民党政権は、“財界・大企業がもうけをふやせば日本中の経済が豊かになる、だから大企業を応援することが一番の仕事だ”という政治を続けてきました。その結果、日本の経済の仕組みは、財界・大企業にはつごうがよくても、庶民にはつらいものになってしまいました。ヨーロッパ諸国などと比べても、このゆがみは異常です。
税金の使い方を変える歳出の改革――「逆立ち」財政をあらため、予算の主役にくらしと社会保障を……日本は、国民のくらしをささえる社会保障への支出より、大型プロジェクト中心の公共事業が異常に多いという、「逆立ち」した税金の使い方をしています。公共事業は、90年代に50兆円にまで膨らみましたが、財政危機のなかでのムダづかいにたいする国民の強い批判や、デフレの影響もあって40兆円程度(行政投資実績)にまで減少し、社会保障への支出も、高齢者の増加にともなって25兆円程度にまで増えていますが、なお、異常な「逆立ち」状態が続いています。ヨーロッパでは、社会保障に使う税金が公共事業よりはるかに多いのが当たり前です。社会保障への公費負担は、日本は、ドイツ、フランス、イギリスの2分の1から3分の1にすぎず、一方で、公共事業はフランスの1・5倍、ドイツの3倍、イギリスの4倍にもなります(GDP比)。
日本共産党は、「逆立ち」した税金の使い方を大もとから改め、社会保障を予算の主役にすえます。道路特定財源の一般財源化をはじめ、公共事業のムダと浪費、5兆円もの巨額の軍事費、特殊法人向け予算、官房機密費や不正に流用されている警察報償費、選挙買収にまで使われた政党助成金など、歳出のすべての浪費にメスを入れ、国、地方あわせて新たに10兆円程度の財源をつくり、国民のくらしと社会保障にふりむけます。
税金の集め方を見直す歳入の改革――大企業や高額所得者に応分の負担を求める……税金の集め方はどうでしょうか。この十数年間に、自民党が「税制改革」の名のもとにおこなった最大のものは、消費税の導入と増税です。その一方で、大企業の払う税金は、法人税をはじめ、どんどん引き下げられました。
その結果、日本は、大企業の税と社会保障の負担率が、ヨーロッパ諸国に比べてもともと低いうえに、日本だけがさらに下がるという特別な国になっています。企業の税と社会保障の負担率(国民所得比)は、1990〜2000年度の10年間をみると、イギリス15・3→16・0%、ドイツ15・7→17・7%、フランス23・0→23・6%と上昇しているのに、日本は逆に、14・2%から12・3%へと2ポイント、約7・5兆円も減っています。
日本共産党は、税金や社会保険料などの負担は、「所得が多いものは多く、少ないものは少なく」という経済民主主義の原則をつらぬき、日本の大企業にヨーロッパなみの応分の負担をもとめます。この間に引き下げられた法人税率や所得税・住民税の最高税率を見直すとともに、土地や株式譲渡益など資産課税の適正化をすすめるなどの歳入の見直しで、国、地方あわせて約8兆円の財源を計画的に確保します。
税金の使い方と集め方を改めれば、年金をはじめ、社会保障や教育、中小企業、農林漁業の振興など国民のくらしを支えるための仕事を大きくすすめることができます。
法律で、労働時間は1日8時間・週40時間と決まっているのに、残業や休日出勤が「当たり前」です。ヨーロッパでは残業時間の上限が規制されており、フランス―残業を含めた労働時間は1日10時間、週48時間まで、ドイツ―1日2時間・年60日などとされていますが、日本の法律には上限規制がありません。有給休暇の取得率は5割以下と、権利があってもきちんと守られていません。納税者としての国民の権利を定めた納税者憲章がないのも、サミット参加国では日本とロシアだけです。
日本では、くらしや雇用、中小企業をまもるルールが極端に弱く、大企業の身勝手が野放しにされています。昨年のエビアン・サミットで、「企業の社会的責任を重視する」という経済宣言が採択されたように、経済社会の「持続的発展」のために、大企業は、雇用や地域経済、消費者、環境などに対する社会的責任をはたすべきという考え方が世界の新しい流れです。
日本共産党は、「企業の社会的責任」を大企業にきちんとはたさせ、安定した雇用、環境との共生、人間らしい生活と社会など、「ルールある経済社会」への前進をめざします。
――労働者の雇用と労働条件のために……リストラを規制し、サービス残業、長時間労働をなくします。パート・派遣などで働く労働者への差別・格差をなくし、均等待遇を保障します。
――金融制度は公共的責任を優先する……金融機関に、中小企業・地域経済への資金供給というあたりまえの責任をはたさせます。
――中小企業の経営を応援する……大型店の出退店を規制して地域の商店街をまもります。親企業と下請け企業の対等・平等の関係をつくります。納税者憲章を制定します。
――人間と環境との共生……京都議定書での国際公約を果たすために、産業界に二酸化炭素排出削減計画を義務づける、廃棄物での製造者責任をより明確にするなど、地域から地球規模まで環境破壊を抑えるルールをつくります。
イラクへの自衛隊派兵をきっかけに、“アメリカに協力して軍隊を派遣した国として一番目立っている”と指摘されるように、日本政府の「アメリカいいなり」は、世界でもきわだっています。アメリカに追随した「海外派兵国家」の道を続ければ、世界とアジアから孤立するばかりです。
日本共産党は、「アメリカいいなり」の大もとにある日米安保条約=日米軍事同盟廃棄を、外交の大目標にすえながら、自主・独立の国づくりをすすめ、世界とアジアの平和・友好に貢献する日本をめざします。
日本共産党は、日本で唯一、安保条約を廃棄し、独立・非同盟・中立の日本をつくることを外交の大目標にかかげる政党です。軍事同盟にしばられ、巨大な軍事基地をおかせ、米国の無法な戦争に動員される体制を「永久不変」だと考える勢力には、およそ国の独立と未来を語る資格はありません。
日米安保からぬけだせば、わが国に明るい展望が開けます。
日本を、外国の軍隊のいないほんとうの独立国家にすることができます。誰にも気がねなく、憲法9条をもとにした平和・自主外交に取り組めます。「アジアの一員」として、平和・互恵の立場で積極的な役割をはたせます。とりわけ、わが国をとりまく北東アジア地域の平和と安定の枠組みづくりに大きな役割をはたすことができます。「唯一の被爆国」として、核兵器全廃へのイニシアチブを発揮できます。世界の116カ国・46億人が参加する非同盟諸国会議に合流できます。海外派兵立法を廃止し、大幅な軍縮を断行し、巨額の軍事費を国民生活にふりむけられます。
安保をなくすのにむずかしい手続きはいりません。安保条約第10条の規定にしたがって、アメリカに「安保廃棄」を通告すれば、相手国の同意がなくても1年後には条約はなくなります。アメリカとは「友好条約」を結び、対等・平等の新しい日米新時代をつくります。いま日本で「安保廃棄」を主張している党は、日本共産党だけですが、この声はかならず国民多数の意見になると確信しています。日本共産党は、この大目標の実現にむけて一歩一歩すすみます。
「国際紛争の平和的解決」「武力の行使・威嚇の禁止」という国連憲章の「平和のルール」にそった国際秩序を築き上げることは、国際政治と国際世論が直面する重要課題です。日本共産党は、自民・公明政権の「アメリカいいなり」の外交から、日本国民の利益に立った自主・平和の外交に転換し、国連憲章にもとづく「平和のルール」を厳守して、飢餓、貧困、人権侵害などを克服した、平和で公正な国際社会を実現するために力をつくします。
多国籍企業の無責任な活動を規制し、地球環境を保護するとともに、一部の大国の経済的覇権主義をおさえ、すべての国の経済主権を尊重し、平等・公平を基礎とする民主的な国際経済秩序の確立をめざします。
日本外交をこの方向に転換するもとで、世界で1、2位をあらそうほどの額になったわが国のODA(政府開発援助)を、大企業の海外進出の条件整備やアメリカの戦略に奉仕するものから、発展途上国の自主的・自立的発展と世界の平和に寄与するものに変えることができます。また、海外での大規模な災害の救援・復旧、医療活動などの切実な国際協力活動、NGO(非政府組織)と連携した人道支援活動などもいっそう充実できます。
わが国の、日米安保にしばられたアメリカいいなりの外交姿勢は、「アジアの一員」としてわが国がこの地域の平和と安定に貢献する自主外交をすすめるうえで重大な障害になっています。
いま、東アジア全体で、各国の自主性、多様性を尊重しながら、地域の平和確立を最大の目標に、経済・文化面でも協力を発展させる動きがすすんでいます。「東アジア共同体」をめざす構想や、東南アジア諸国連合(アセアン)の呼びかけで中国・インドをふくむアジア全域にまたがる友好協力条約が結ばれたことも、この大きなあらわれです。日本も「アジアの一員」として、この流れに積極的に合流すべきです。
日本共産党は、つぎの「日本外交の四つの転換」をすすめ、「アジアの一員」として、こうした平和と友好の流れに合流するアジア外交にきりかえます。
――紛争問題を解決するさい、軍事優先ではなく、話し合いによる平和解決を最優先し、国連憲章が定める「平和のルール」を厳守する。
――アメリカ外交偏重、サミット外交偏重を正し、アジア外交を日本外交の中心にすえる。
――アメリカであれ、どんな大国であれ、他国への追随外交ではなく、日本国民の立場に立ち、道理によって世界に働きかける自主・独立の外交をきずく。
――侵略戦争と植民地支配への反省を、アジア外交に取り組む大前提として内外に明らかにする。
アメリカいいなりの政治は、経済の面にまでおよんでいます。最近、日本政府は、巨額のアメリカ国債を買い続け、イラク侵略戦争や「金持ち減税」などで急増しているアメリカの財政赤字の“穴埋め役”をしています。しかし、アメリカの巨額の財政赤字と貿易赤字のもとで、ドル暴落が起きれば、日本が巨額の借金を新たにかかえ、経済、財政に新たな危機をもたらしかねません。
これまでもアメリカは、経済面での数々の「対日要求」を強引に押しつけ、「不良債権の早期処理」による中小企業への大規模な貸し渋り・貸しはがし、コメ輸入の大幅拡大とWTO協定受け入れなど、くらしと経済に大きな困難をもたらしてきました。
経済の面でも、アメリカの不当な対日要求に屈せず、自主性をつらぬいた対等・平等の日米経済関係への転換をすすめます。
わが国の憲法は、“戦争はしない、軍備はもたない”と決めた第9条はもとより、国民の人権を豊かに多面的に保障している点でも、世界でもすすんだ誇るべき憲法です。問題は、この憲法が国政の土台にすえられていないばかりか、ないがしろにされつづけてきたことです。
日本共産党は、憲法を制定するにいたった経緯や、国民がこの憲法にこめた熱い決意、この憲法の基本精神などを書き込んだ憲法前文をふくめ、日本国憲法のすべての条項を厳格にまもります。とくに、平和・人権・民主の条項を、21世紀日本の「国づくり」に生かし、その完全な実施のために力をつくします。日本共産党がめざす日本改革の提案は、日本国憲法の、主権在民、戦争の放棄、国民の基本的人権、国権の最高機関としての国会の地位、地方自治などの原則を完全に実施することと重なりあうものです。
わが国の憲法は、30カ条にわたる基本的人権を、「侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に」(憲法第11条)保障しています。国民の基本的人権を制限し抑圧することをきっぱりとやめさせ、社会や経済の発展・変化に対応して、人権の充実をはかります。企業の内部をふくめ、社会生活のあらゆる分野で、思想・信条による差別をなくします。
――憲法第25条は、すべての国民に「健康で文化的な生活を営む権利」(生存権)を保障しています。自民党政治のもとで国民のこの権利はまったく踏みにじられています。国民の「生存権」を名実ともに保障するために、全力をつくします。
――「両性の同権・平等」を規定した14条・24条・44条を生かし、男女の平等・同権を社会のすみずみで擁護し、保障します。女性の独立した人格を尊重し、女性の社会的・法的地位を高めます。
――「思想及び良心の自由」(19条)を尊重します。学校などでの「日の丸」「君が代」の強制をやめさせます。
――「信教の自由」をまもり、政教分離の原則を徹底させます。
――憲法の平和・人権・民主の精神を生かした教育制度、教育行政の改革をすすめ、教育条件の向上と、教育内容の充実をはかります。
選挙制度や国会のあり方、行政機構、司法制度などを、憲法の「国民主権」の精神に立って改革します。世界の大勢である「18歳選挙権」をいそいで実施します。
汚職・腐敗・利権の政治を根絶するために、企業・団体献金を完全に禁止します。国民の「思想・信条の自由」を踏みにじり、政党が国民の税金を分け取りする政党助成制度を廃止します。
地方政治では「住民が主人公」をつらぬき、住民の利益への奉仕を最優先課題とする地方自治をうちたてます。
日本共産党は、結党以来82年間、「国民が主人公」「反戦平和」の立場をつらぬいてきました。党の財政で、企業献金にも政党助成金にもたよらず、一人ひとりの国民に支えられて、清潔・公正の立場を堅持してきました。どんな問題でも、財界・大企業に遠慮せずに、アメリカにもきっぱりモノが言える日本共産党の発言力が強くなってこそ、国政に国民の声を届けることができます。
自民党対民主党の「二大政党対決」がさかんにいわれていますが、国の将来を決める憲法問題でも、国民に多大な負担を強いる消費税増税でも、あまりにも似かよった両党に、「自民、民主の違いが見えない」という声が上がっています。年金問題でも、自民・公明と民主党は、与党の改悪案を容認する3党合意をかわしています。
憲法9条改悪も、消費税大増税も、自民党・公明党、民主党が声をあわせて大合唱しています。これらは、もとをただせば財界が強く要求していることです。日本経団連は、各党の政策に“通信簿”までつけ、多額の政治献金をエサに悪政を競い合わせようとしています。すでに、財界を中心に、連合やマスコミをまきこんだ21世紀臨調(新しい日本をつくる国民会議)で、自民・公明・民主のマニフェストの「評価」をはじめています。
国会運営では激しく「対決」しているように見えても、政治の中身では、財界の要求にどちらが忠実にこたえることができるのか、悪政を競い合っているにすぎません。このような「二大政党」では、日本の政治のゆがみはひどくなる一方です。
日本共産党は、国民の声をまっすぐに国政に届けるためにがんばり続けます。日本共産党が伸びてこそ、自民党政治のゆがみをただす、国民の立場からのほんとうの改革をすすめることができます。こんどの選挙で日本共産党を大きく躍進させてください。
各分野の政策 |
分野別政策のテーマは以下の通りです。全文は順次掲載します。
1、社会保障・福祉制度を拡充し、国民のくらしを底上げする 2、中小企業対策に真正面から取り組む政治にきりかえる 3、公共事業の浪費と利権の構造にメスを入れ、生活・福祉・防災・環境型中心に転換する 4、安全な食料の安定供給のために、農林漁業を再生し、食料自給率の向上をはかる 5、ゆきづまった原発依存を転換し、自然エネルギーの開発・利用を本格的に促進する 6、21世紀の持続可能な経済・社会のために、環境問題に真剣に取り組む 7、地方財源の削減に反対し、くらしと地方自治をまもる 8、被災者への支援を充実させ、災害の備えを優先した国づくりをめざす 9、利用者・国民そっちのけ、金融業界の都合のための郵政民営化に反対する 10、女性が生きいきと力を発揮できる平等な社会をめざす 11、競争と管理の教育から、子どもの発達と成長を中心にすえた教育に 12、安心して子どもを生み育てられる社会に――少子化社会を克服する努力を 13、社会のモラルの危機の克服――子どもたちを守り、子どもたちの声に耳をかたむける社会をつくる 14、学術・文化・スポーツの自由で豊かな発展のために 15、政治とカネのよごれた関係を断ち切り、民意が反映される選挙制度に 16、国民の生命と安全をまもるために 17、海外派兵と大軍拡計画をやめさせる |