日本共産党

2004年6月3日(木)「しんぶん赤旗」

道路公団民営化法案に対する

宮本議員の反対討論

参院本会議


写真

反対討論する宮本議員=2日、参院本会議

 道路関係四公団民営化法案の採決をおこなった二日の参院本会議で、日本共産党の宮本岳志議員がおこなった反対討論(要旨)は次の通りです。

 道路公団の民営化は、二年前に小泉総理が道路公団の民営化を表明して以降、「小泉改革」なるものの目玉として位置づけられてきたものです。わずか三十時間弱の参院審議の中でさえ、国民が望んでいる改革に何ら役立つものではなく、まったく「改革」の名に値しないものであることが明らかになっています。

仕組み温存で歯止めはなし

 第一に、無駄な高速道路をつくり続ける仕組みを温存し、歯止めなき建設に道を開くものです。

 政府は、九千三百四十二キロの高速道路建設計画の残り二千キロについて見直し「無駄な道路建設に歯止めをかけた」と説明しています。

 しかし、抜本的に見直すのは第二名神の二区間三十五キロだけです。この区間について私が委員会で「こんな計画はただちに中止すべきだ」と追及したのに対して石原国交相は初めて「中止もありうる」と答えましたが、これだけではあまりにも不十分です。

 さらに、民営化会社が造らない路線を税金で建設する「新直轄方式」も予定の三兆円分より膨らむ可能性が明らかになりました。「民営化会社が建設しない路線が増えて予算が不足したらどうするのか」という富樫議員の質問に、石原国交相は「新直轄方式による整備も含めて決めていく」と答えました。「国民負担は最小限に」という看板も完全に破たんしたのです。

返済45年計画虚構は明らか

 第二に、四十兆円にのぼる債務を四十五年で返済するという計画が虚構であることも明らかになりました。

 返済の前提条件は、金利が4%以下で交通量が需要推計の中位を維持することです。しかし金利が上昇し、交通量が減少すれば、多くの借金が残ります。九千三百四十二キロにとどまらず、法定予定路線の一万千五百二十キロも建設すれば債務が膨らみ、四十五年での返済は不可能になるではありませんか。

 法案の土台というべき「四十五年で返済」は破たんしたのです。

 第三に、高速道路建設に伴う環境破壊や地域経済への悪影響などのマイナス要因が除外されています。

 東京地裁は、圏央道が騒音や大気汚染を発生させるとして、国の事業認定を取り消す判決を出しました。インタチェンジの周辺開発による大型店進出で市街地の空洞化が進むなど、地域経済への悪影響も明らかです。

 政府の計画には、このような住民の健康、環境、地域経済への悪影響は考慮されていません。

天下りや癒着さらに悪化へ

 第四に、天下りや政官財の癒着を温存し、さらに悪化させる危険性をはらんでいます。

 民営化すればこれまで適用されていた情報公開法や、官製談合防止法、入札契約適正化法などが適用外になることが明らかになりました。不十分な法律さえも適用されなくなり逆に野放しにしようというのであります。

官房長官疑惑解明さえ拒否

 細田博之官房長官が、道路公団の事実上のファミリー企業である「日本道路興運」に運転手の給与を肩代わりさせ、三千百万円も供与を受けていたことが明らかになりました。この企業には、国土交通省から十八人、公団から四人も天下り、公団から受注した百万円以上の仕事の七割以上は競争入札のない随意契約でした。極めて重大です。

 ところが石原大臣は「公団改革とは関係ない」と疑惑の解明さえ拒否したのです。

 このように法案は、国民の批判を経営形態を変えることでかわそうというものであり、まさに「改悪法」だといわざるをえません。

 日本共産党は第一に、高速道路整備計画を廃止し新たな高速道路の建設は凍結・見直すこと。第二に、債務を国民に押しつけるのではなく、通行料金から債務返済の財源を確保し計画的な返済をすすめること。第三に、天下りの禁止やファミリー企業との癒着、受注企業の政治献金の禁止などで政官財の癒着構造を断ち切ること―にこそ国民の願う本当の改革の道があると考えます。

 「小泉改革」は、目玉といわれた道路公団改革においてもまったくの偽りであることが明らかになりました。もはや小泉政権には「改革」を口にする資格はない、ということを指摘して反対討論を終わります。


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