2004年6月1日(火)「しんぶん赤旗」
産業再生機構は三十一日、産業再生委員会を開き、化粧品事業を分離したカネボウ本体の再建支援を決定しました。同社は、国内人員を四割弱削減するなど抜本的なリストラを行うとともに100%近い減資を実施。事業撤退に伴い、国内十六工場のうち九カ所について売却先を探します。また債権放棄など総額千五百億円の金融支援も主力取引金融機関や再生機構にあおぎます。
中島章義社長は同日記者会見し、今回の事態に立ち至ったことに「甘えや問題先送りの体質を深く反省したい」と謝罪しました。
国内では今年三月末で四千八百人余りの従業員を二○○七年三月末までに千八百人減らします。繊維事業が中心の海外も、大半に相当する七千五百人がリストラの対象になります。
金融支援では、債権放棄九百九十五億円を要請するほか、三井住友銀行が三百億円の優先株を引き受けます。また再生機構は、99・7%の減資後カネボウに最大二百億円を出資し、議決権のある株式の過半を握り再建を主導。社外取締役に五人を送り込みます。さらに、運転資金などに充てるため、同行と再生機構合わせて九百億円の融資枠も設定しました。
カネボウは、事業を四段階に分類。家庭用品や薬品、菓子、「フィラ」「ランバン」などファッション事業の一部は中核と位置付け育成します。カップめんや飲料、天然繊維、防府工場の合成繊維などの事業は早期に売却先を探し、みつからない場合清算します。
合成繊維は、当面北陸合繊工場(福井県鯖江市)に集約した上で、中核事業としての可能性を見極め、対処します。冷菓や下着事業は継続するか、売却、清算するかを早急に決定します。