2004年5月27日(木)「しんぶん赤旗」
日本共産党の吉岡吉典議員が二十六日の参院本会議で行った質問と首相答弁の要旨は次のとおりです。
「日朝平壌宣言」は過去、現在の諸懸案の解決の上に、日朝国交正常化を図るという道理にあった解決方法を示すものとして、国際的にも強い支持と期待を受けました。
国交正常化交渉の再開をめぐって政府・与党内に議論がありますが、総理は、「宣言」を基礎にした交渉をどのような手順で進めるのですか。
最近、東京で行われた日中韓三国の学者によるシンポジウムで、「六カ国協議とARF(アセアン地域フォーラム)があわさって北東アジアの平和と安全保障の枠組みができるだろう」という発言がありました。総理自身も早期に正常化を実現し、北東アジアと世界の平和を進めたいと語っていました。今回の訪朝が、こうした期待と総理発言に沿うものとなったと考えてよいでしょうか。
拉致問題で、金正日委員長は、「安否不明」とされた十人についてこれまでの調査を白紙撤回して再調査を約束したといわれますが、どのようなやりとりで、結論としてそうなったのでしょうか。新たな合意を踏まえての再調査のやり方について答弁を求めます。
六カ国協議における核問題での一致にいたっている点、まだ一致にいたっていない点を整理して答弁願います。また、今回の会談での総理の「核廃棄」に関する説明を、金委員長はどう受け止めたのですか。
さらに、世界は核兵器を廃絶し、非核の世界の実現のためにも、真剣な努力が必要です。日本は唯一の戦争による被爆国としてその努力をさらに強める責任を持っていると思うが、総理はどう考えますか。
北朝鮮側に、拉致問題など今日の懸案問題で誠実な態度が求められるのと同様、わが国も植民地支配の歴史を事実にそって清算する誠実な態度を示さなければならず、一部の議論にある植民地支配の正当化の居直り的態度は許されません。総理の考えをたずねます。
日朝関係に携わっている政府関係者の一人から「拉致犠牲者家族の話を聞き、その苦悩を知り、拉致家族の気持ち、苦労がわからなければ日朝交渉を成功させることはできないだろうと思った。同時に、拉致家族の苦労がわかればわかるほど、かつて日本に強制連行された人々の家族の苦労がどんなに大きいものだっただろうかを考えさせられた。その苦労がわからなければ、過去の清算をめぐる日朝交渉を成功させることはむずかしいだろうと思った」という話を聞いて感銘を覚えたことがあります。
過去の歴史の清算についての総理の見解を問います。
【日朝国交正常化交渉】今回の訪問をふまえ、しかるべき時期に再開できるよう、調整を行っていきたい。
【訪朝と北東アジアの平和】今後も日朝平壌宣言に沿って、拉致・核・ミサイルといった日朝間の諸懸案を包括的に解決した上で、北東アジアの平和と安定に資する形で日朝国交正常化できるよう、ひきつづき努力していく。
【安否不明者の再調査】早急に北朝鮮側の再調査の結果を求める一方、わが国独自の調査結果とも突き合わせて真相の解明を図っていく。
【核問題】米韓など関係国と緊密に連携し、完全・検証可能かつ後戻りできない核廃棄という目標に向け、第三回六者会合の場で建設的な役割を果たしていく。
【核廃絶に向けての努力】唯一の被爆国として、核のない平和な世界をつくるために、現実的な措置を積み重ねていくことが重要だ。
【過去の歴史の清算】日朝平壌宣言に沿って、今後の日朝関係を取り進めていく。