2004年5月24日(月)「しんぶん赤旗」
細田博之官房長官の運転手給与の肩代わりをしていた日本道路興運(東京都新宿区、山口哲也社長)が、細田氏らへの肩代わりヤミ献金分をふくめると、政治資金規正法で定められている献金の総額制限をはるかに超えていたことが、本紙の調べで分かりました。
違法献金は出した側とともに受領した側にも罰則が定められており、細田官房長官の責任もあらためて問われます。
政治資金規正法では、企業ができる年間の献金額について、資本金や出資額でその上限が定められ、それを超えての献金は違法となっています。
日本道路興運の場合、資本金が十億円未満で年間限度額は七百五十万円です。
同社は二〇〇二年までの三年間をみても、毎年、自民党の政治資金団体・国民政治協会に四百万円を献金しています。
一方、運転手給与の肩代わりを受けていた細田官房長官が代表者となっている自民党島根県第一選挙区支部は、同社から〇〇年に約四百万円、〇一年に約三百七十九万円、〇二年に三百六十三万円の献金を受けたとして収支報告書の訂正をしました。
さらに自民党の塩谷立衆院議員も秘書給与の肩代わりを受けていたとして、〇〇年から〇三年まで同社から計九百十三万円、年間二百八十万円前後の献金があったとして、収支報告書の訂正をする意向です。
このほか粟屋敏信元衆院議員も一九九六年十月から〇三年十月にかけ同社から運転手の給与計二千四百万円分の肩代わりを受けていたことを認めています。
このため、同社の年間献金額は軽く一千万円を超え、政治資金規正法の上限を超えることになります。
政治資金規正法では、企業が総額制限を超えて違法献金をした場合、一年以下の禁固または五十万円以下の罰金に処するとの罰則が定められています。違法献金を受けた側にも同様の罰則があります。
今回、同社の献金が年間限度額を超える事態となったのは、ヤミ献金としていた運転手や秘書などの給与肩代わりが表に出たため。細田官房長官らは、このヤミ献金を収支報告書に記載することで事態の収拾を図ろうとしています。しかしヤミ献金を表の献金とすることにより今度は総額規制を超えるという別の違法性が出てくることになったとみられます。
日本道路興運は本紙の取材に「コメントは差し控えたい」と話しています。