2004年5月23日(日)「しんぶん赤旗」
政府のBSE(牛海綿状脳症、狂牛病)対策事業をめぐる牛肉偽装事件で、助成金を不正受給した全国同和食肉事業協同組合連合会(全同食)が、全頭検査を経て「安全」とされた国産牛肉についても、買い取り制度を悪用し助成金を受け取っていたことが二十二日、分かりました。
大阪府警捜査二課は、補助金適正化法違反の疑いで再逮捕した全同食専務理事で食肉大手「ハンナン」元会長、浅田満容疑者(65)らを同容疑で新たに立件する方針です。
農水省は二○○一年十月から、すべての牛でBSE感染の有無を調べる「全頭検査」を実施。同月末に発表された対策事業では「シロ」とされた牛肉は助成制度の対象外でした。
安全な国産牛まで市場に出さず、不正受給に利用した背景には当時、BSE騒動で牛肉がだぶついていたことがあったとみられます。
調べなどによると、全同食は同年秋、全頭検査後の国産牛肉約八・二トンを買い上げ対象と偽って申請し、農畜産業振興事業団(現農畜産業振興機構)から、助成金を不正に受けた疑いが持たれています。
この牛肉は、全同食副会長岩上清二容疑者(66)=同容疑で再逮捕=が社長の「岩上商店」(大阪市)が、大阪市内の市場で同年十月に購入した二十七頭。同月末に全頭検査を経て解体された後、計約八・八トンが箱詰めされ、偽装牛肉が保管された「大阪食品流通センター」(大阪府堺市)の倉庫に運ばれました。