2004年5月20日(木)「しんぶん赤旗」
細田博之内閣官房長官(衆院島根1区)が日本道路公団と契約関係がある企業から、八年間にわたって自分の運転手の給与として約三千百四十万円の肩代わりを受け、政治資金収支報告書にも記載していなかったことが十九日、分かりました。発覚した給与肩代わりは、ヤミ献金の疑いが濃いもので、自民党交通部会長の経歴もある細田氏の責任が問われます。
給与を肩代わりしていたのは東京都新宿区に本社がある日本道路興運(山口哲也社長)。細田氏の事務所によると、東京事務所で働いていた運転手が病死した後、同社社員だった男性運転手(60)が一九九六年一月から昨年まで細田氏の運転手をつとめました。
同事務所は「こちらで雇用したと判断し、給与も年額三百数十万円払っていた。社員としての給与も受けていることはうすうす把握していたが、正確な金額は報道の指摘を受けてから分かった」としています。
肩代わり総額は三千百四十三万円。過去四年分の約千五百万円を政治資金として今月七日に修正報告したといいます。細田氏はこのほか日本道路興運の経営者から個人献金やパーティー券購入も受けていました。
日本道路興運は、日本道路公団の委託を受けて公団に運転手を派遣。東京国税局が架空人件費の計上などで二〇〇三年三月期までの七年間に約二億八千万円の所得隠しを指摘していたことが今年一月に発覚しています。また、同社は、自民党の塩谷立衆院議員の秘書給与千数百万円、粟屋敏信元衆院議員の運転手給与二千四百万円余をそれぞれ肩代わりしていたことも同日判明。両議員とも、政治資金収支報告書に記載していませんでした。
日本共産党の市田忠義書記局長は十九日午後、細田博之官房長官が都内の人材派遣会社から秘書給与の肩代わりを受けながら政治資金収支報告書に記載していなかったことについて記者団に問われ、「報道されている限りでも、違法なヤミ献金の疑いが濃い。収支報告書の訂正をしたからといって、責任が免れるものではない」と強調しました。
市田氏は「秘書や運転手の給与を肩代わりしてもらうやり方は、自民党などがとるやり方だ。他の自民党議員の名前も出ていた」と指摘。「まずは本人がきちんと真相を国民の前に明らかにする必要があるし、自民党としても自浄作用をきちんと発揮すべきだ。とりわけ細田氏は官房長官であり、小泉首相も官房長官に任命しているのだから、きちんと真相を国民の前に明らかにする必要がある」とのべました。