2004年5月18日(火)「しんぶん赤旗」
有明再生九州ネットの福岡、佐賀、長崎、熊本の四県の漁民が十七日、熊本市にある九州農政局を訪れ、農水大臣に諫早湾の潮受け堤防の「中・長期開門調査」を求める要望書を、伊丹光則農政局長に手渡し、二週間以内をめどに漁民の声を聞く場を開催するよう求め、伊丹農政局長も開催を約束しました。
要望書では、農水大臣が「新たな漁業被害への懸念」を理由に「中・長期開門調査」を見送ったことについて「漁業被害の具体的内容も示さず、漁業被害に苦しむ漁民の不安をかき立て、干拓工事を完成させようという許しがたい行為」と抗議。開門調査をしない代替策では、科学的な解明にならず有明海再生につながらない、として「中・長期開門調査」を求めました。
要望には、大牟田市のノリ漁民、松藤文豪さん(47)ら漁民や支援者約二百人が、午前九時から九州農政局で、農政局長への面会を要求。漁民らの抗議のなか、午後二時半になってやっと局長が面会を約束。同五時から十五分間、同市のニュースカイホテルで面会し、口々に開門しか有明海の再生はないと訴えました。
申し入れに参加した荒尾市の漁民・前田力さん(54)は「今までと海が変わっている。潮流が戻らんと海は再生できない。開門調査しかない」と訴えました。
玉名市の鳴瀬益幸さん(68)は「海がここまでなっているのを知ってほしい。ことしになって五人も自殺者が出ている。今じゃ、三年前大問題になったプランクトンすら生きていられない海になっている」と話しています。