日本共産党

2004年5月18日(火)「しんぶん赤旗」

都市整備、1兆円含み損

公団側が富樫議員に回答


 都市基盤整備公団が住宅や都市整備を行う予定で取得した「販売用不動産」の含み損(評価損)が九千七百五十四億円に達していることが十七日までに明らかになりました。日本共産党の富樫練三議員にたいする公団側の回答で分かりました。

 同公団は、小泉内閣がすすめる「都市再生」事業の実施部隊として、七月に名称を変えて独立行政法人「都市再生機構」として発足予定。巨額の含み損への責任も問わないまま、新たなムダ遣いを生み出しかねない「都市再生」に乗り出す責任が問われます。

 販売用不動産をめぐっては、簿価(取得時の地価)と現在の地価(公示価格)との下落幅が30%以上の含み損(強制評価減)が六千五百二十五億円に達していることが明らかになっていました。

 三月三十日の参院国土交通委員会で富樫議員が30%未満の含み損がどれくらいあるかと質問。西川聡理事は「含み損だけで計算していない」と答えていましたが、このほど「時価下落が30%未満(0―30%の下落)である評価損を二〇〇二年度行政コスト計算書で評価し計算した結果、三千二百二十九億円になる」と回答してきたものです。

 30%以上下落の評価損六千五百二十五億円とあわせて合計九千七百五十四億円の含み損になります。ただし公団は評価増(時価が原価より上回っている)が三千七十六億円あるとしています。


居住者にしわ寄せやめよ

 解説 都市基盤整備公団は、バブル経済崩壊後も「土地有効利用」事業という名目で企業の遊休地を取得したり、開発の見込みのない土地を購入。これらの土地が下落し一兆円近い含み損(評価損)が発生したとみられます。

 このようなずさんな公団経営によって都市開発部門は巨額の赤字を生み出し、住宅部門の黒字を食いつぶすという結果となっています。

 その反省もなく都市再生機構として発足させることは問題の先送りといわざるをえず、ずさんな経営への責任も不明確なまま新たな「都市再生」事業に乗り出すことは問題です。居住者へのしわ寄せも危ぐされます。

 都市基盤整備公団では七月の都市再生機構設立後、賃貸住宅を含め全資産について資産評価委員が評価し、その結果を発表するとしています。

 しかしその結果については設立時に発表せず、作業の大変さを理由に発表時期を大幅に遅らせようとしています。

 公団は七十五万世帯、二百万人以上の居住者の“大家主”であり、その社会的役割と責任に照らして財政の実態をより正確・迅速に公表すべきです。ずさんな経営責任を明らかにするとともに、居住者にしわ寄せなどしないようにすべきです。

 (高瀬康正・党国会議員団事務局)


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