2004年5月17日(月)「しんぶん赤旗」
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残業をしているのに賃金が支払われない「サービス残業」。ヨーロッパ諸国では考えられないことで、労働基準法に違反する明白な違法行為です。日本共産党は、職場の労働者の取り組みと連携しながら、二百回を優に超える論戦で、サービス残業の一掃にむけて力を尽くしてきました。このもとで、二〇〇一年以降に労働者に支払われた未払い残業代は二百五十三億円を超えています。
日本共産党がサービス残業問題を国会ではじめてとりあげたのは一九七六年十月のこと。その後も、サービス残業を横行させる大企業の横暴を告発してきました。
ヨーロッパ諸国に比べ、日本では残業規制でも有給休暇でも、労働者が人間らしく働くルールがあまりにもなさすぎます。ただ働きをさせるという「サービス残業」は、その最たるものです。党国会議員団は、不破哲三議長、志位和夫委員長を先頭に、ヨーロッパではあたりまえの経済活動のルールを確立する課題としてサービス残業問題をとりあげ、その一掃のために徹底した論戦を展開しました。
二〇〇〇年の通常国会には使用者に実際の労働時間の把握と記帳を義務づけることなどを盛りこんだ「サービス残業根絶特措法案」を提出しました。
こうした論戦と労働者の取り組みが高まるなか、ついに厚生労働省は二〇〇一年四月六日、サービス残業の解消に向けた通達(「四・六通達」)を出しました。使用者が労働者の日々の始業・終業時刻を確認し記録する義務があることを明記するなど、日本共産党の提案が反映されたものでした。
宮本たけし、八田ひろ子両参院議員ら党議員団総務部会は、民間労働者だけでなく、公務員労働者のサービス残業根絶も重視。四・六通達が出された直後に総務省に、公務員労働者の労働時間把握のための適切な措置をとるよう申し入れました。同年四月二十六日、総務省は四・六通達と同趣旨の通達を全国に出しました。
党国会議員団は、四・六通達も力として、民間大企業労働者の職場の点検活動、労働基準監督署への申告活動で明らかとなった実態をふまえ、未払い残業代の支払いとサービス残業の一掃に向け、引き続き論戦を強めました。
大沢たつみ参院議員は、三菱電機や三菱重工、川崎重工、神戸製鋼などの労働者と力を合わせて取り組みました。その結果、〇一年四月から〇二年九月までの兵庫県内事業所で支払わせた未払い残業代は、十八億円。大沢議員の追及で、小泉首相は「(サービス残業の)解消に努める」と明言しました(〇四年三月、参院決算委員会)。
八田議員は、アイシンの約一億七千万円、中電の六十五億二千万円など未払い残業代を解決してきました。
八田議員のもとには、「助けてください。夫は毎日十五時間も働いています」との家族からの訴えも寄せられました。こうした家族の思いをうけとめ、家族からの申告を、労働者本人からの申告と同様に扱うことを厚労省に認めさせたことも、党議員団の重要な成果でした。
〇二年二月、井上美代参院議員は、家族からの訴えを労働者本人の申告と同様に扱うことなどを求めて厚労省と交渉。同年三月には、八田、井上両議員が質問主意書を提出し、政府は、家族からの情報によっても監督指導することを答弁しました。
これにより、労基署の申告受理件数は十年前の一万件台から三万件台に急増。労働者と家族がいっしょになって取り組むことで運動がさらにすすむことになりました。
このなかで、厚労省は〇三年五月、「サービス残業解消対策指針」を発表。始業・終業時刻の確認と記録はタイムカードやICカードなど客観的な記録を原則とすることなどが盛りこまれました。