2004年5月13日(木)「しんぶん赤旗」
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日本共産党の穀田恵二衆院議員は十二日の衆院国土交通委員会で、診療報酬改定をめぐる贈収賄事件で会長らが起訴された日本歯科医師会(日歯)の政治団体・日本歯科医師連盟(日歯連)から石原伸晃国土交通相側に対して、自民党の資金管理団体・国民政治協会を経由する形で計四千万円にのぼる「迂回(うかい)献金」がおこなわれていた疑いがあると追及しました。
穀田氏によると、献金は二〇〇〇年七月から〇二年五月にかけて一千万円単位で四回に分けて支出。日歯連から国民政治協会にいったん寄付された後、一週間足らずで自民党本部に渡り、その後また十日足らずで党本部から石原氏が支部長を務める自民党東京都第八選挙区支部に流れていました。
穀田氏は、総選挙があった〇三年の十月から十一月八日までの短期間に石原氏が臼田氏から五回も選挙応援を受けるなど親密な関係にあり、そしゃく機能障害で身障者認定を受ける際に必要な診断書を歯科医師も書けるよう日歯が権限拡大を要望していた二〇〇〇年当時、日歯側と面談していたことを指摘しました。
そのうえで、党本部からの一千万円単位の交付金は異例で、〇二年度は同第八支部にしか交付されていないことを指摘。同日付の新聞報道でも「迂回」献金がとりあげられていることにもふれて、「金の流れは見事に符合している。これを、迂回献金といわずにどういうのか」と追及しました。
石原氏は、献金について「承知していないので調査したい」と答弁。日歯からの要望については「勉強会のひとつ」と弁明しました。
迂回(うかい)献金 企業や政治団体が、政治家に対する献金関係を隠すために、政治家本人の資金管理団体や政党支部に直接献金するのではなく、別の団体を経由して行う献金。自民党の政治資金団体「国民政治協会」にいったん寄付し、自民党本部を経て政治家に金をまわすなど、これまでゼネコン汚職事件、KSD事件でも、迂回献金疑惑が浮上しています。
日本歯科医師連盟(日歯連)から四千万円の「迂回(うかい)献金」が発覚した石原伸晃国土交通相。日歯連からの「迂回献金」発覚は自民党の佐藤勉衆院議員に続く二人目です。石原氏と日歯連前会長の臼田貞夫容疑者との深い関係は、業界ではかねてからよく知られていました。
日本歯科医師会の広報紙「日歯広報」の臼田容疑者の動静欄によると、石原氏としばしば面会、ときには父親の石原慎太郎都知事も交えて懇談しています。
臼田容疑者は石原氏の地元、東京・杉並区に歯科医院を開業、杉並区歯科医師会の会長をしていたこともあり、石原氏を応援。とりわけ昨年秋の総選挙では、臼田容疑者は石原氏の国政報告会や出陣式、個人演説会、街頭演説会に参加するなど、異常なてこ入れをしています。
一昨年五月、臼田容疑者が首相官邸に小泉首相を訪ねたさいにも、安倍晋三官房副長官(当時)とともに、石原氏(当時行革担当大臣)が同席しています。
昨年八月二十九日、東京・九段の歯科医師会館で開かれた職域代表の自民党参院比例・笹井ひろふみ候補の事務所開きでは、石原氏が青木幹雄参院自民幹事長に続いて登壇、「石原親子は、(笹井氏の)知名度アップのために少しでもお役に立ちたい」と父親まで持ち出し大サービスのあいさつをしています。
日歯連から石原氏へは、公表された献金だけでも二〇〇〇年から〇二年の三年間で三百八十万円にのぼっています。