2004年5月12日(水)「しんぶん赤旗」
参院農水委員会で十一日、日本共産党の紙智子参院議員は農業委員会法「改正」案について、農業委員会解体に向けた大きな一歩になりかねないと厳しく批判しました。
今回の「改正」により、地方自治体に農業委員会の設置が義務づけられる基準(必置基準)が大幅に緩和されます。紙氏は、市街化区域内農地が基準面積から除外され、必置基準面積が二倍に緩和された場合、農業委員会設置が義務づけられるのは、東京では練馬区と八市三町しかなくなるなど、三大都市圏の農業委員会の機能は大幅に後退すると指摘。都市農業における農業委員会の役割を否定するのかとただしました。
これに対し川村経営局長は、「都市農業を軽視するわけではない」としながらも「業務が少ないところは無理して設置する必要はない」などと答えました。
さらに紙氏は、農業委員会の業務を農地の集積や法人化の推進に重点化する問題をとりあげ、農業委員会に農水省の下請け機関となることを求め、農地利用集積の推進役に専念させようというもので、農家の代表としての農業委員会の性格を変質させるものだと強く批判しました。
農民連(農民運動全国連合会)は十一日、農業委員会の解体・縮小となる農業委員会法案の改悪をやめ、参院での慎重審議を求める国会要請行動をおこないました。
改定案は、市町村に農業委員会設置が義務づけられる面積基準を大幅に引き上げ、都市部では農業委員会を廃止する方向です。面積基準は政令で定めることになっていますが、現行基準の二倍の面積が必要といわれています。農業委員会の業務についても「農業振興計画の樹立」「農民生活の改善」を削除するなど役割を縮小する内容となっています。
福島、神奈川、東京、三重、大阪からの代表は、各党派の参院農林水産委員の事務所を訪ね、要請文書を渡して「農業委員会の役割を守ってほしい」と訴えました。東京板橋区でブドウ園などを経営している東京農民連の田中山五郎会長は、「農地の番人がなくなると農地、緑地が減り、地産地消ができなくなる」といいます。改悪案は、現行面積(都府県九十ヘクタール・北海道三百六十ヘクタール以上)を二倍以上にして、市街化区域内農地は除外するため板橋区では農業委員会を廃止する動きが強まるからです。
同法案の審議がおこなわれた参院農林水産委員会を傍聴後、日本共産党の紙智子参院議員と懇談。委員会審議がヤマ場となる十八日にむけ、地元選出の農水委員などに慎重審議の要請を続けることを確認しました。福島県郡山市農業委員を務める郡山地方農民連の宗像孝会長は、農業委員会が農民のアンケートで農業振興計画づくりを進めていることを紹介、「答弁は農業委員会の役割を軽視している」と批判していました。