2004年5月7日(金)「しんぶん赤旗」
財務省が、来年度予算に向け、小中学校の教科書有料化の検討を始めました。財務相の諮問機関である財政制度等審議会(会長=貝塚啓明・中央大学教授)の部会で、「受益者負担等の観点から教科書の有償化が課題」として教育関係予算の重点項目に掲げ、検討しています。
教科書の購入にかかる費用(二〇〇四年度)は、小学校の場合、児童一人当たり千七百十一円(二年生)から四千二百五十五円(三年生)で、平均三千百七十三円。中学校の平均は、四千五百九十五円です。〇四年度予算全体では、四百三億円(文科省予算の0・7%)が教科書購入費にあてられています。
義務教育教科書の無償給与制度は、「憲法第二六条に掲げる義務教育無償の精神をより広く実現する」(文部科学省ホームページ)ため、国公私立すべての小中学校に通う全児童・生徒に対して実施されています。全学年・全教科の教科書無償給与が実現したのは一九六九年のことです。
有償化を打ち出したのは旧大蔵省当時の一九七九年。「厳しい財政事情」を理由に、財務省と名前がかわってからも教科書有償化の主張を繰り返しています。
小泉内閣の「骨太方針」(経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003)には盛り込まれていないため、財務省が有償化の根拠として持ち出しているのは二十三年前の臨調答申です。
財政負担の削減という理由では支持が広がりにくいためか、近年では「受益者負担の原則や教科書に対する国民的な意識と関心を高める」(財政審・〇四年度予算への「建議」)などと、表向きの理由づけを変化させています。