日本共産党

2004年4月30日(金)「しんぶん赤旗」

三菱クレーム隠し

改まらない隠ぺい体質

欠陥は「隠れ会議」で対応


 「クレーム情報の98%を秘匿」――。一面所報のような三菱自動車の隠ぺい体質は、二〇〇〇年七月に発覚したクレーム隠し事件以降、現在まで続いていました。二〇〇二年一月に横浜市で起きたタイヤ脱落事故で、三菱ふそうトラック・バス(三菱自動車工業から分社化)は、社内調査班の議事録の一部を意図的に削除した証拠隠滅容疑まで浮上しています。改まらない体質。その姿をクレーム隠し事件での裁判資料から見ると―。


写真

大型トレーラーが頻繁に通過する横浜・瀬谷区のタイヤ脱落・母子死傷事故の現場

 〇一年三月の株主代表訴訟(昨年十二月和解)に提出された原告側の資料に、当時の様子が生々しくしるされています。

 「運輸省に報告していない不具合情報が社員ロッカー内に隠されている」という匿名の電話で、同省は抜き打ちの立ち入り監査を実施しました。

 品質保証部のグループ長は監査の連絡を受け「びっくり」すると同時に「顔が青ざめ」ました。

 同社は七七年ごろからクレーム情報の二重管理を開始。秘匿する「H」情報と開示する「P」情報に区分。九二年からは東芝に依頼し、コンピューター上でも情報を隠せる情報管理システムを三億円をかけて導入していました。

 監査当日、社員は「10分間対応マニュアル」にしたがって、コンピューターの画面を「P」情報のみに切り替え、資料整理を実施。確実に秘匿工作が完了する仕組みができていました。

 監査の部屋には監査官が六人。グループ長の「顔が青ざめた」のは、画面切り替えの担当者がいなかったからです。

 リコール対策も巧妙でした。

 同社には「社業務標準」(標準)という内規があります。

 内規では月一回、市場品質部長が主宰するクレーム対策会議(クレ対)が開かれ、リコール検討(リコ検)会で処置が決定されるようになっていました。

 しかし、重要な不具合については、内規にない個別会議が開かれました。秘密の会議で「隠れ会議」と呼ばれていました。

 本来はリコールとすべきものでも、多くは、販売店に内密の欠陥車回収を指示する「作業依頼書」が出されていました。これは「指示改修」「呼び込み改修」と呼ばれていました。

 当時の品質保証部長は「正規のリコール等の措置がとられるのは年間数件であり、それに対し、実際はそれに代わる措置として、隠れ改修である指示改修という形が多くとられていた」と証言しています。


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